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フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

(kanan)muna (鶏)卵

いつの間にか品薄状態は解消されたようですが、値段が高くて閉口しています。

日本は無味乾燥なプラスチックのパックに10個入りで売っていることが多いですが、フィンランドでは写真のような紙のパックに6個入りで売っていることが多いようです。デザインも可愛くて、ほのぼのとした気持ちになります。

munaは卵、フィンランド人は鳥の卵というと普通は鶏卵しか食べないので、munaだけでも十分ですが、「鶏卵」と言いたいときはkanan(鶏、めんどり)を前につけて表現します。

mu-naとka-naはどちらも2音節語の名詞で、単数属格-nを加えるだけ、単数分格の変化も簡単(2羽のニワトリは2 kanaa、2個の卵は2 munaa)ですが、複数分格(たとえばpaljonが前につく場合)は前者はmunia、後者はkanojaになります。どうしてこの変化の違いが出てくるのでしょう。テキストsuomea suomeksi 1を使って勉強している方は、24課のs146の「7つのルール」の中に答えがありますので考えてみてください。

卵は卵でも、「魚卵」はmäti(単数属格din(t:dのkpt変化あり)、単数分格mätiä複数分格mäte)です。合わせて覚えておきましょう。

相原秀起さんの講演「知られざる北方四島の自然」を聴きに行きました

7月6日フィンランド語入門コースで勉強されている相原秀起さんの講演「知られざる北方四島の自然」を聴きに行きました。平日の午後ということで退職世代の方がほとんどでしたが、20名ほどが定員と思われる会場は、補助イスも登場するほどの大盛況でした。

相原さんの話には、長い新聞記者歴と確かな取材に支えられた説得力とユーモアがあり、1時間半強のセミナーはあっという間に過ぎてしまいました。「ラッコと火山の島 択捉」、「シマフクロウの島 国後」、「北太平洋の箱庭 色丹」、「海鳥とトドの楽園 歯舞」という構成も素晴らしく感じられました。現在のロシア情勢を考えると、なかなか訪れるのは難しい北方四島、貴重な動画と画像も満載でした。

相原さんが大黒屋光太夫とエリク・ラクスマン、アダム・ラクスマン親子を追っての30年にも及ぶ取材の集大成が、この秋予定されているエリク・ラクスマンのふるさとサヴォンリンナ訪問だそうです。10月にはその報告会が今回と同じ「道民カレッジ」で開催されますが、北海道フィンランド協会も後援させていただく予定です。今回のセミナー同様、Zoomでの参加が可能かと思われますし、講演のビデオ画像も道民カレッジから頂けそうです。どうぞお楽しみに。

択捉島東端に那智の滝より大きな滝があるとは…

loimulohi (遠赤外線で炙った)サーモン

写真1

週末の内輪の夏至祭で、ビザの他に久しぶりにloimulohi(loimu「炎」+lohi「鮭」)を作ってみました。サーモンを固定する板と木製のくさびを準備すること、大きな焚き火ができる場所を見つけるのが大変なのですが、調理方法としては大変シンプルなものです。
1. 1キロ弱のサーモンの半身の両面に軽く塩を振り、アルミフォイルに包み1‐2時間置く。
2. サーモンを固定する板と木製のくさびは2時間くらい水に浸けておく。
3. 十分な火力の焚き火をおこしておく。
4. サーモンの塩を落とし、溶かしバターにディルと塩少々混ぜたものを表面に塗り、木製のくさびで板に固定し、焚き火の近くで45分~1時間炙る。

板を置く場所は、手をかざして4‐5秒我慢できる炎からの距離。お好みで焼いている途中にディルバターを1‐2度塗り足してもよいです。写真1は私が初めてloimulohiを見たJyväskyläの野外市場(2004年)、写真2はコロナ前2017年に今回と同じ場所(ただし屋外)で作ってみたloimulohi、写真3はディルバターを塗った炙る前のマス、そして写真4は今回屋内での焚き火で炙っている最中のloimulohiです。

サーモンは高かったので、今回はマスを使いましたが、それでもおいしかったです。

写真2

写真3

写真4

oregano, (mäki)meirami オレガノ

オレガノはヨーロッパの地中海沿岸を原産とするシソ科ハナハッカ属の多年草。和名はハナハッカ(花薄荷)。別名はワイルド・マジョラムやコモン・マージョラム(以上ウィキペディア日本語版より)。日本ではあまりポピュラーなハーブではありませんが、なぜかフィンランドではピザといえばオレガノというくらい、ピザには欠かせないスパイスです。もともとイタリア料理やギリシャ料理と相性の良いハーブなので何も不思議ではないのですが、このピザ‐オレガノの強力なコンビ、フィンランドでは不動です。

植物としては、(mäki)meiramiを使うこともあるようですが、スパイスとしてはoreganoを普通使うと思います。 私も知人の多いOuluはピザがおいしい町として有名なようで、昔はロヴァニエミからヘルシンキに向かう夜行列車はOuluで15分から40分くらい停車していたので、あらかじめ電話で好みのピザを駅前のピザ屋に注文しておいて、停車時間中に店から取りに行って夜食代わりに食べている人を何度か見かけました。今は日本同様、列車はもうそんなに長く一つの駅に停車していないかな…

週末に内輪の夏至祭を楽しむ予定なのですが、ピザ窯がある場所なので、皆でピザ作りする予定です。オレガノパウダーとわが家で育てている生の葉っぱを少々持っていくのを忘れないようにしないと。

 

kaura エンバク(燕麦)、カラスムギ、 オート麦、オーツ麦

6月12日の初級コースで紹介。kauraはフィンランドでは大変人気のある食材、たとえば、kaurapuuro(+puuro「おかゆ」で「オートミールのおかゆ」)。puuroも覚えていると便利な語で、米のおかゆはriisipuuroと「米」riisiとつなげればOKです。

格変化の面では、単数属格はkauran単数分格はkauraaと簡単ですが、kaulaとrをlで発音すると「首」になってしまうので要注意です。

写真は私の先生Seijaさんの自宅から別荘の間(1.5㎞くらいの道のりだったと記憶しています)で見かけたエンバクの畑。また訪れたい場所です。

laivaranta 船着き場

2017年9月4日 Ruovesi

6月5日の初級コースで紹介。laivaは、テキストsuomea suomeksi 1で勉強されている皆さんは、15課で学習、語彙に入っている人も多いと思います。

rantaは「岸、岸辺」で、nt:nnのkpt変化が生じる場合があるので注意です。単数属格(「~の」)はrannan、「~へ」、「~に」、「~から」の形はそれぞれ、 rantaan、rannassa、rannastaです(通常内部格使用)。

rantaはLappeenrantaのような地名にも含まれていますし、Ranta, Rantala, Rantanenのような名字でもよく見かけます。私の大昔の留学時代のスーパーバイザーもRantala先生でした。

 

luomu 有機農法の、オーガニックの

5月29日の月曜初級コースで紹介。

luomuluonnonmukainen(名詞「自然(luonto)」の属格+mukainen「~に対応した、一致した」)→「自然の」から作られ、1990年代にはよく使われるようになった語です。 複合語の最初の要素としてもよく使われ、luomutuote「有機製品(農産物)」、luomuliha「有機飼育による肉」luomuviljely「有機農業」など知っていると便利です。写真はluomuolut「オーガニックビール」ですね。

eläinlääkäriasema 動物病院(クリニック)

2017/8/16 Helsinki

5月22日の月曜初級コースで紹介。

eläin「動物」、lääkäri「医者」、asema「駅、ステーション」の3語の複合語です。 eläinlääkäriは「獣医」、lääkäriasemaは「クリニック」ですから、一石六鳥の語彙拡充が可能です。

「動物病院」はeläinsairaala(「動物」+sairaala「病院」)でも通じると思いますが、写真のようにeläinlääkäriasemaが一般的です。写真中のVETEIRAはクリニックの名前ですね。いずれにせよ、sairaala「病院」も覚えておきたい語です。

jääkiekko アイスホッケー

5月15日の月曜初級コース、5月17日の水曜入門コースで紹介(実は前者は昨年度同曜日の入門コースで紹介したことを忘れており、昨年から受講していた人へは2回目の紹介となってしまいました)。jääは「氷」、kiekko「ディスク、円盤=パック」の合成で「アイスホッケー」となります。

アイスホッケーはフィンランドの国技とは言い切れませんが、フィンランド人が最も熱狂するスポーツの代表格でしょう。昨年の北京オリンピックでフィンランド男子が初の金メダルを獲得した時には、国中が大騒ぎだったようです。

「氷」で始まる複合語としてjääkaappi(「氷」+「戸棚、タンス」=「冷蔵庫」、英語はrefrigeratorという奇っ怪な語がありますよね)は覚えておきたいところです。そして「氷」の[ä]はしっかり前舌母音で発音したいところです。jaaと言うと①jakaa「分ける」という動詞の命令形・否定形、②「ああ、そう」(間投詞)の意味になってしまいますから。

もちろんIlvesの応援団

写真は2017年のTampereでのアイスホッケーシーズン開幕戦のダービーマッチ、黄色と緑と黒のユニフォームがIlves(「オオヤマネコ」)、白と赤がTappara(「戦斧、闘斧」)で友人のJussi、Jussiの息子のJoonasと観戦に出かけましたが、JussiはTappraファン、JoonasはIlvesファンと、家族の中でも応援先が違っていました。試合はTapparaが3-0でIlvesを下したと記憶しています。

yrtti ハーブ

5月8日の月曜初級コースで紹介。写真はOuluのマーケット広場近くのカフェの看板。筆記体のきれいな飾り文字の看板、上の3つはすべて単数分格形ですが解読できますか?Kahvia(「コーヒー」)、 Tee(「紅茶」)、 Suklaata(「チョコレート」)です。物質名詞は、看板や包装袋・箱に単数分格形で表示されることが比較的多いです。

入門・初級レベルの方は一番下の語の解読に苦労、あるいは綴りがわかっても意味はご存じないかもしれません。表記はYrtte(テキストsuomea suomeksi 1の26課で履修の複数分格形)、辞書形はyrttiで「ハーブ」の意味です。

この語を知っていればyrttitee(「ハーブティー」)のような語も語彙に入れることができます。また、国が違えばハーブ、スパイス類の使い方も変わるもので、フィンランド旅行を何度かされた方なら、日本ではあまり使わないtilli(「ディル」)が魚料理(特にサーモン)にはつきものであることに気づかれたと思います。私が9日の授業時に出した例は、フィンランド人はピザにつきもののスパイスとしてオレガノをまず思い浮かべる、というもので、ゲストのフィンランド人2名も賛同してくれました。