*

フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

nukkua pommiin 爆睡する

手前Netta、奥Mia

今週はこれまでのところ水曜日のサークルにMiaが、昨日木曜日の初級コースにNettaが、それぞれ新学期前の忙しい中、ゲストとして来訪してくれ嬉しかったです。特に木曜は今期に入ってからフィンランド人ゲストの来訪がなかったので、受講生の皆さんも喜んでくれたのではと思います。

水曜サークルで使用のプリントにnukkua pommiinという表現が出てきました。nukkuaは「寝る」、後半の要素pommiは「爆弾」ですから、まさに「爆睡する」ですね。Miaによれば寝過ごしてしまった時とか、よく使う言い回しだそうです。

私が大昔ロヴァニエミに留学していた時、「ぐっすり眠る」ことを表す成句のnukkua kuin tukki「丸太のように眠る」という表現を知り、「森と湖の国」フィンランドらしい表現だなと妙に感心した覚えがありますが、こちらはだいぶ古臭い表現となりつつあるようです。

nukkuaは辞書形ですからもちろん人称変化します。過去形の「私は爆睡してしまいました。」は(Minä) nukuin pommiin.です。

vihannestakiainen ゴボウ

またまた植物、野菜の話題です。伊達市大滝区で借りている畑では、今年初めて長ネギ(purjo(sipuli))とゴボウ(vihannestakiainen, vihannes「野菜」+takiainen「アザミ、ゴボウの類」)に挑戦しました。ゴボウの根を食用にしているのは、世界的に日本だけだそうですね。

素人の悲しさ。ゴボウは収穫時に楽に掘れるようにするために相当畝を高くしなければならないのに、それを知らずに他の作物と同じ高さに種を蒔いてしまいました。とはいえ10株くらい立派に葉が成長したので、食用となる根の方の成長具合はいかばかりかと一株収穫してみました。土の中の根の成長先に障害物があると一本物にならないようで、写真のような三又のゴボウが出現しました。

見た目は悪いのですが、きんぴらごぼうにしてみたところこれが大変美味。来年はもう少し研究し、株数も増やしてみようと思っています。一方長ネギはゴボウと逆で、畝に溝を掘って苗を植え、成長と共に茎に少しずつ土をかけてやると白くて柔らかい部分が多くなるそうです。長ネギは苗を植えるのが遅かったので、まだ直径1cm位といったところですが、これからの2-3週間でもう少し成長してくれればと思っています。

いつもお世話になっているKaisa Häkkinen教授の『現代フィンランド語語源辞典』によると、アザミ、ゴボウの類(学名Arctium)を表すフィンランド語takiainenはバルト・スラブ語からの借用で、祖形はdagijas、現代ラトビア語ではdadzisになります。書き言葉として初めて登場した1637年時にはtが一つ多いtakkiainenだったそうです。

mustikanpoiminta ブルーベリー(mustikka)狩り

先日伊達市大滝区へ数名のフィンランド人、及び畑を借りているメンバー数名とブルーベリー狩りに出かけました。ブルーベリーの木は、私たちと同じく大滝の藤田さんから畑を借りている協会員の酒井恵真先生のものなのですが、今年は出来がよかったので、少し取っていって構わないよ、ということになったのです。

酒井先生のログハウスOLOSのロフトで、札幌の残暑の中とは違い、しばらくぶりに涼しい部屋でぐっすり眠れた女性陣は、雨の中、嬉々としてブルーベリー採りに励んでいます。SiljaはAntero Raimo & Ovetのそのものズバリmustikanpoiminta「ブルーベリー狩り/摘み」をスマホでかけながら、Ronjaは「私なかなか採るの上手でしょ。え、あなた、それしか取れてないの?」と軽口をたたきながら、Siiriは「収穫したブルーベリーについて「獲物」という言葉を使える?」と日本語のことも考えながら、といった調子です。

ヘルシンキ郊外でもこの位はすぐに採れます(2017年夏)

フィンランドの野生のブルーベリーは低灌木ですから、地表から20-30cm位のところに実がなっています。腰をかがめなければならないので、栽培されている日本のブルーベリーのほうが取りやすいとは思いますが、短時間のうちに、皆かなりの「獲物」を手に入れ、汗を流しに温泉へと向かっていました。

数日後Siljaが作ったブルーベリーパイ(mustikkapiirakka)のおすそ分けをもらいました。「バターがなかったからココナツオイルで作ってみた」と言ってましたが、大変美味でした。今年はフィンランドでもブルーベリーが大豊作のようで、コロナ禍で夏をフィンランドで過ごせなかった私の先生のSeijaさんからも:Siskot kirjoittivat, että Suomessa on ollut tosi hyvä mustikkavuosi.「フィンランドでは本当に良いブルーベリーの年になっている、と妹たちが手紙を書いてきました」とハガキが来ました。

2020年度フィンランド語入門講座がスタートしました!

 

初心者対象の2020年度フィンランド語入門講座が、9月5日(土)にスタートしました。
初回は23名の方が参加し、北大留学生のホンギスト・ネッタさんをゲストに、早速アルファベットの学習からはじめました。
フィンランド人の発音を、画面で口の形を確認しながら真似ることができ、受講生の皆さんも活発にリクエストしながら意欲的に取り組んでいました。
従来の対面授業ではなく、Zoomを使用したオンライン授業となりましたが、操作等に大きな問題もなく、順調に滑り出しています。
Zoomの利点を生かした授業を考えていきますので、これからどうぞよろしくお願いします。
引き続き、受講をご検討中の方の見学も歓迎いたします。
どうぞお気軽にお問合せください。

 

フィンランド語入門講座担当  片瀬 康勝

keisarinelämänlanka 朝顔(皇帝の[天皇の]人生の糸)

今年の8月(elokuu「収穫月」)下旬は大学のフィンランド語入門の成績付けなどに時間を取られ、火曜日から金曜日担当の協会のフィンランド語の各コースも再開、あっという間に9月(syyskuu「秋の月」)に入ってしまいました。その間この「ブログ欄」にも何も投稿できず、数少ない読者の皆さんには失礼しました。昨年は10日間ほど小笠原諸島(父島・母島)でのんびりできたことを、懐かしく思い出しています。

植物は、自然のものは気候や土壌に適応する形で精一杯生育しようとする姿が、作物や花卉は天候に左右されることも多いですが、だいたい丹精すればそれに見合った実や花をつけてくれるところが好きです。そのようなわけで植物に関する話題が多くなっています。

4月に「複合語を覚えるのは語彙を増やす秘訣の一つですよ」と書いた覚えがありますが、わが家のプランターで先月下旬から遅まきながら咲き始めたアサガオはまさにその代表的な例。keisarin(「皇帝/天皇の」)+elämän(「人生の」)+lanka(「糸」)です。面白い発想の複合語だとは思いませんか。

アサガオの丹精そのものは、水やりは欠かさなかったものの、本来あんどんに仕立てるべき品種だったのに気づかずに支柱だけ立て、無理やりそれに這わせていたようないい加減さでした。とはいえかなり大きな花を早朝には咲かせてくれています。