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フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

(jalo)hortensia アジサイ

また2か月も投稿をサボってしまいました…

我が家の裏庭のhortensia

植物は興味のある人とそうない人と結構はっきり分かれる気がしますが、フィンランド人は日本人よりは自然に囲まれて生活している人が多いせいか、植物に関心を持っている人が多い気がします。

先月札幌に遊びに来た友人(日本に10年近い在住歴あり)も植物が好きで、アジサイが好きだそう。アジサイはすっかり私の語彙から抜けていました。

hortensiaでした。「高貴な、気高い」を表すjaloをつける場合もありますが、辞書によってはjalohortensiaはアジサイの原種のガクアジサイを指す場合もあるようですね。

hortensiaはhor-ten-si-aと区切られる4音節語なので、a-si-aと同じで複数分格がhortensioita(asia→asioita)となり変化が難しいですね。あまり使うことのない格変化とは思いますが。投稿をサボっているうちにアジサイの季節もすっかり終わってしまいました。

laulukaskas セミ(蝉)

2022年8月29日知床で

「-s終わりの名詞・形容詞は変化に注意ですよ」と受講生に言っている自分が、(laulu)kaskas(「セミ(蝉)」)の単数属格(「~の」)は-kaskaksenだっけ、それとも-kaskaanだっけとちょっと考えてしまいました。正しい形は後者、この語は単数分格は-kaskasta(たとえば「2匹のセミ」はkaksi (laulu)kaskasta)ですが、その他の単数の格は-kaskaa-、複数の格は-kaskai-からの変化です。

セミの抜け殻の1時間半前にヒグマを見かけました

sinikuusama ハスカップ

先週、1月に着任した東京のフィンランドセンターのJaakko所長と、プロジェクトマネージャーのNinaさんと北海道大学内でランチをしながら歓談する機会がありました。同大学北極域研究センターのJuha Saunavaara先生と、文学院の田中佑実先生との打ち合わせが主で、私は同大学でフィンランド語を非常勤で教えさせていただいている関係での同席でした。

暖かな日中だったこともあり、おいしいハンバーグランチのあと、デザートにアイスクリームかジェラートでも(甘党ではない私は、実のところアイスとジェラートの違いがわからないのですが)ということになり、北海道の牛乳を使ったバニラとハスカップのジェラートを皆注文しました。Juhaに「ハスカップはフィンランド語で?」と尋ねられ、昔調べた覚えがあったのですが、すっかり忘れていることに気づきました。3名のフィンランド人もベリーということしかわかりません。

今は何でも検索できて便利ですね。ジェラートを食べている間、アイヌ語由来のハスカップ(標準和名は「クロミノウグイスカグラ(黒実鶯神楽)」、なぜスイカズラ科スイカズラ属なのにカグラ「神楽」が和名に入っているかも不思議なのですが)はsinikuusamaだとわかりました。

3名のフィンランド人も初めて聞いたベリー名だったようです。「人の名前のようだね。」とはJaakkoさんのコメント。Siniはsininen(「青」)由来の、おそらく日本語だと藍さんとか碧(翠)さんに相当する女性のファーストネームで、kuusamaはスイカズラ科の植物のことです。フィンランドでは動植物を直示する名字はポピュラーなので、Jaakkoさんの耳にはSini Kuusama(さん)のように聞こえたようです。DVV[Digi- ja väestötietovirasto]のHPで検索したところ、わずか20名強ではありますがKuusamaさんが存在することもわかりました。

nauravat nakit タコちゃんウインナー?

GW中は元Turku大学留学生のMikaが来道、5月3日~5日を除いて我が家に滞在していたので、一緒に飲みに行ったり、花見に行ったり、軽登山に出掛けたりと、楽しい時間を過ごせ、かつ、たくさんフィンランド語が使えたので良かったです。

フィンランド人男性らしくそれほど口数の多くはないMikaですが、知らない単語や言い回しをいろいろ教えてくれるので大変勉強になります。

写真は某居酒屋の一品で「鉄板タコちゃ~んラッシュ!」というのですが、通常は「タコちゃんウインナー」とでも言う人が多いでしょうか。

この一品を見たMika、「フィンランド語ではnauravat nakitだよ。」と教えてくれました。nauravatは動詞nauraa(「笑う」) の現在分詞nauravaの複数主格形、nakitはnakki(「ウインナー」)の複数主格形、つまり「笑っているウインナーたち」という意味です。nauravat nakitで画像検索すると、いわゆるタコちゃんウインナー風の写真の他に、マッシュポテトの塊にタコちゃんウインナーの頭を何本も刺してハリネズミ風に仕上げた料理が出てきたりして、ちょっと笑ってしまいました。

lohi 鮭・サーモン

lohi(「鮭・サーモン」)は、ブログ欄で昔lohikeitto(「サーモンスープ」)を話題にした覚えがあるので、すでに同じような内容を取り上げているかもしれませんが、変化の難しい語です(特に単数分格形)。

私がフィンランド語を習い始めた時に使っていたテキスト中に、このようなやり取りがありました。
Jarkko: Onko teillä tuoretta kalaa?
Myyjä : On, esimerkiksi lohta.
Jarkko: No, otan pienen lohen, paljonko tuo lohi painaa?
≪以下省略≫

Jarkko君が「所有文」を使って『あなたがたのところ(=あなたの店)には新鮮な(tuore)魚(kala)はありますか?』と単数分格形を使って聞いたところ、店員さんは『はい、たとえばサーモンが。』と単数分格形で答えています。このやりとりで出てくる青字の単数分格形はtuore→tuoretta、lohi→lohtaと変化も難しいですが、単数分格の難しい用法です。サーモンは新巻鮭のように1匹そのままで売っている場合もあれば、切り身で売っている場合もあります。ましてや一般的な魚だと何匹いるかわからない小魚が一山いくらで売られている場合もあります。このtuoretta kalaaやlohtaはそのような様々な形態で売られている魚やサーモンを漠然と、かつ包括的に表現しています。

Jarkko君は「えーっと、小さなサーモンを1匹もらいます、そのサーモンはどのくらいの重さがありますか?」と返していますが、彼が欲しいのは間違いなく1匹のサーモンです。この「1匹」は「小さい」という形容詞も含めて、赤字の-n(単数対格形)が表しています。

最後の「そのサーモン」は文の主語ですから、単数主格、つまり辞書形のlohiを使わなければなりません。たった3行のやり取りの中にlohiという単語が3つ形を変えて登場しています。このような使い分けはなかなか難しく、初級者にとっては悩みの種となることでしょうが、格変化は少々間違っても通じますので、あまり神経質にならずに、正しい形を使えたら儲けもの、くらいの気持ちでいたほうが良いかと思います。

 

 

 

 

Punnitse ja säästä 計量して節約して!

長く取らせていただいた春休み中、また投稿をサボってしまいました。新年度になり、各コース2回程度の授業を行っています。今年度もよろしくお願いします。

木曜初級コースでは、今年度テキストsuomea suomeksi 2の修了を目指し、14課で「命令法」を学習しています。命令法は複数に対する形が~kaa/kää(肯定形「~してください」)、Älkää ~ko/kö(否定形「~しないでください」)で、音的にちょっと独特なので、気づきやすいですが、目の前の一人の相手、すなわちsinäに対する肯定の命令形は気づかずにスルーしがちなので注意しましょう(否定形「~するな」はÄlä ~なので比較的気づきやすいですが)。

もう投げよう(北海道弁「=捨てよう」)と思っていたボロボロの紙袋、最後まで活用しましょう。写真中の袋に印刷されている文字の意味は解りますか?

Punnitse &(= ja) Säästäで前者はpunnita(「重さを量る」タイプⅤの動詞)、säästäはsäästää(「倹約する、貯蓄する、節約する、残しておく…」タイプⅠ)のsinäに対する命令法です。「(必要な分だけ)計量して、節約しなさい」という意味になるかと思います。punnitaは抽象的な使い方「検討する、考慮する」があるのを、辞書を引いて思い出しました。知っているつもりの単語もマメに辞書を引くことは大切ですね。

etiketti ①ラベル、②エチケット・礼儀

etikettiはなかなか面白い単語で2つ意味を持っています。発音だけ聞いたら「エチケット」かと思う人が多いかと思いますが、ワインや飲料のラベルもetikettiです。外来語系統の言葉なので、単数分格etikettiä(äのウムラウトを忘れなければ簡単!)、複数分格はなかなか難しくetikettejä単数属格etiketin(tt:tのkpt変化あり)です。

画像は最近気に入っている日本酒のラベル、日本酒はriisiviini(riisi「米」+viini「ワイン」)と説明的に表現しても良いですが、sakeも最近なら大丈夫でしょう。したがって日本酒の瓶のラベルはsakepullon (あるいはriisiviinipullon) etikettiになります。銘柄名中の「亀」と「海」は皆さんの語彙に入っていますか?

もう一つの②の意味のetikettiはnoudattaa「遵守する」、rikkoa「破る」といった動詞などと相性が良いかと思います。

hiirimatto マウスパッド

気がつくと食べ物の話題が続いたので、違う話題も取り上げますね。

PC用のマウスはフィンランド語でも「ハツカネズミ」を表すhiiri、そしてパッドの方はフィンランド語では「マット」を表すmatto、マウスパッドはこの2語の複合語になります。

mattoの格変化ですが、単数属格はmaton(tt:tのkpt変化に注意)、単数分格はmattoa複数分格はmattojaです。一方複合語の前半の要素のhiiriは特に単数分格が難しく、「2匹のハツカネズミ」はkaksi hiir(単数分格)、単数分格と思った方も多いと考えられるhiirは実は複数分格単数属格はhiirenです。複数形に取り組んでいる水曜初級コースで最近良く話題にしますが、「単数の格変化が簡単な語は通常複数の変化が難しく、単数の格変化が難しい語は複数の格変化が簡単な語が多い」ことを知っていると良いでしょう。

写真は7~8年前に留学生にもらったhiirimattoで、気に入って今も使っています。

aprikoosi あんず(杏・杏子)

ジャム(hillo)はあまり食べないのですが、あんずジャムは好きです。ところがあまり店に置いてありません。たまに見かけると買ってしまいます。

あんずは中国原産のようですが、ヨーロッパでは近世までアルメニア(Armenia)原産だと考えられていたようで、それが学名(Prunus armeniaca)にも反映されているようです。

昔は更埴(こうしょく)市でしたが、今は自治体統合で千曲(ちくま)市になったかと思いますが、「あんずの里」があり、長野県には縁があったので何十年か前の学生時代に友達と花見に出掛けたことを、あんずジャムを食べるたびに思い出します。

あんず(aprikoosi)は-i終わりの外来語ですから、単数属格はaprikoosin単数分格はaprikoosiaのように単純な格変化です。あんずの実がたくさんあればpaljon aprikooseja複数分格は難しいですね(monta aprikoosiaも可です)。

granaattiomena ザクロ(石榴・柘榴)

Hyvää uutta vuotta! 明けましておめでとうございます。

またまた投稿間隔が空いてしまいました。どのくらいの方がこのブログ欄をのぞいてくれているのか見当もつきませんが、フィンランド(語)に関心のある方に少しは参考になるような話題を提供したいと思います。

(特に入門・初級コースの)生徒さんには「文法も大切ですが、やはり語彙を増やしていきたいものです。」といつも言っているくせに、新しい語がだんだん覚えられなくなってきました。そして何十年勉強しても、自分の頭に入っていなかった語彙が次々と現れることに愕然としながらも、Koko elämä on opiskelu.≒「人生常に勉強だ」を実践するしかないのだと感じています。

年末に写真を整理していたら、昨夏Tampereのスーパーで撮ったザクロの写真が出てきました。「ザクロ」は語彙に入っていなかった語でした。granaattiomena、どうして「花崗岩、御影石」+「リンゴ」なのだろうとぼんやり考えていましたが、年明けに辞書を引いて勘違いに気づきました。「花崗岩」はgraniitti、granaattiは鉱物の「ざくろ石、ガーネット」でした。こまめに辞書を引くことも大切だと、改めて思った年初めでした。