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フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

vihannestakiainen ゴボウ

またまた植物、野菜の話題です。伊達市大滝区で借りている畑では、今年初めて長ネギ(purjo(sipuli))とゴボウ(vihannestakiainen, vihannes「野菜」+takiainen「アザミ、ゴボウの類」)に挑戦しました。ゴボウの根を食用にしているのは、世界的に日本だけだそうですね。

素人の悲しさ。ゴボウは収穫時に楽に掘れるようにするために相当畝を高くしなければならないのに、それを知らずに他の作物と同じ高さに種を蒔いてしまいました。とはいえ10株くらい立派に葉が成長したので、食用となる根の方の成長具合はいかばかりかと一株収穫してみました。土の中の根の成長先に障害物があると一本物にならないようで、写真のような三又のゴボウが出現しました。

見た目は悪いのですが、きんぴらごぼうにしてみたところこれが大変美味。来年はもう少し研究し、株数も増やしてみようと思っています。一方長ネギはゴボウと逆で、畝に溝を掘って苗を植え、成長と共に茎に少しずつ土をかけてやると白くて柔らかい部分が多くなるそうです。長ネギは苗を植えるのが遅かったので、まだ直径1cm位といったところですが、これからの2-3週間でもう少し成長してくれればと思っています。

いつもお世話になっているKaisa Häkkinen教授の『現代フィンランド語語源辞典』によると、アザミ、ゴボウの類(学名Arctium)を表すフィンランド語takiainenはバルト・スラブ語からの借用で、祖形はdagijas、現代ラトビア語ではdadzisになります。書き言葉として初めて登場した1637年時にはtが一つ多いtakkiainenだったそうです。

mustikanpoiminta ブルーベリー(mustikka)狩り

先日伊達市大滝区へ数名のフィンランド人、及び畑を借りているメンバー数名とブルーベリー狩りに出かけました。ブルーベリーの木は、私たちと同じく大滝の藤田さんから畑を借りている協会員の酒井恵真先生のものなのですが、今年は出来がよかったので、少し取っていって構わないよ、ということになったのです。

酒井先生のログハウスOLOSのロフトで、札幌の残暑の中とは違い、しばらくぶりに涼しい部屋でぐっすり眠れた女性陣は、雨の中、嬉々としてブルーベリー採りに励んでいます。SiljaはAntero Raimo & Ovetのそのものズバリmustikanpoiminta「ブルーベリー狩り/摘み」をスマホでかけながら、Ronjaは「私なかなか採るの上手でしょ。え、あなた、それしか取れてないの?」と軽口をたたきながら、Siiriは「収穫したブルーベリーについて「獲物」という言葉を使える?」と日本語のことも考えながら、といった調子です。

ヘルシンキ郊外でもこの位はすぐに採れます(2017年夏)

フィンランドの野生のブルーベリーは低灌木ですから、地表から20-30cm位のところに実がなっています。腰をかがめなければならないので、栽培されている日本のブルーベリーのほうが取りやすいとは思いますが、短時間のうちに、皆かなりの「獲物」を手に入れ、汗を流しに温泉へと向かっていました。

数日後Siljaが作ったブルーベリーパイ(mustikkapiirakka)のおすそ分けをもらいました。「バターがなかったからココナツオイルで作ってみた」と言ってましたが、大変美味でした。今年はフィンランドでもブルーベリーが大豊作のようで、コロナ禍で夏をフィンランドで過ごせなかった私の先生のSeijaさんからも:Siskot kirjoittivat, että Suomessa on ollut tosi hyvä mustikkavuosi.「フィンランドでは本当に良いブルーベリーの年になっている、と妹たちが手紙を書いてきました」とハガキが来ました。

keisarinelämänlanka 朝顔(皇帝の[天皇の]人生の糸)

今年の8月(elokuu「収穫月」)下旬は大学のフィンランド語入門の成績付けなどに時間を取られ、火曜日から金曜日担当の協会のフィンランド語の各コースも再開、あっという間に9月(syyskuu「秋の月」)に入ってしまいました。その間この「ブログ欄」にも何も投稿できず、数少ない読者の皆さんには失礼しました。昨年は10日間ほど小笠原諸島(父島・母島)でのんびりできたことを、懐かしく思い出しています。

植物は、自然のものは気候や土壌に適応する形で精一杯生育しようとする姿が、作物や花卉は天候に左右されることも多いですが、だいたい丹精すればそれに見合った実や花をつけてくれるところが好きです。そのようなわけで植物に関する話題が多くなっています。

4月に「複合語を覚えるのは語彙を増やす秘訣の一つですよ」と書いた覚えがありますが、わが家のプランターで先月下旬から遅まきながら咲き始めたアサガオはまさにその代表的な例。keisarin(「皇帝/天皇の」)+elämän(「人生の」)+lanka(「糸」)です。面白い発想の複合語だとは思いませんか。

アサガオの丹精そのものは、水やりは欠かさなかったものの、本来あんどんに仕立てるべき品種だったのに気づかずに支柱だけ立て、無理やりそれに這わせていたようないい加減さでした。とはいえかなり大きな花を早朝には咲かせてくれています。

火曜上級サークルの5名がテキストsuomea suomeksi 2を修了されました

フィンランド歴史教科書(読解中)

夏休み前の8月11日、火曜上級サークルの5名が中・上級者向けのテキストsuomea suomeksi 2(「フィンランド語をフィンランド語で2」)を修了されました。Onneksi olkoon! 4年と数カ月を費やしてのフィンランド語主要文法の学習、お疲れ様でした。本当におめでとうございます。

修了の5名は以下の皆さんです(アイウエオ順)。
‐佐藤美樹さん(レベルが上がるにつれ積極性がどんどん出てきて大変うれしく思っています)
‐重田亜紀子さん(火曜だけでなく、復習も兼ねての金曜上級コース参加、よく頑張りました)
‐田中佑実さん(ヘルシンキ大学留学中にコロナ禍に遭遇、帰国後実家の長崎での受講、遠隔授業のメリットを良く生かしてくれました)
‐平井孝典さん(授業を離れてもさまざまなサポートや示唆、感謝しています)
‐堀岡真由美さん(カンテレ演奏同様にフィン語の学習にも力を入れていただきありがとうございます)

対面授業ではテキストss2終了後は通常、ゲストのフィンランド人も交えて修了証授与、茶話会という段取りになるのですが、今回はそれが叶わず残念です。また修了の報告と修了証の送付が遅くなったこともお詫びします。

火曜上級サークルでは文法の復習と、既習の文法を生かした長文読解などに今後取り組んでいく予定です。夏休み明けは早速フィンランドの歴史の教科書(抜粋)の読解に取り組んでいます。

tyrni サジー、シーベリー、スナジグミ(砂地グミ)…

tyrni(英語:seaberry,sea buckthornなど )

tyrniは日本ではまだあまり知られていないグミ科の植物ですが、世界的には類まれな栄養素の高さで昔から知られ、砂漠の拡大防止や土壌汚染還元が期待できるなど、食品としても植物としても今後注目を浴びそうな気がします。北海道ではむかわ町などで試験的~実用化段階で栽培されています。

実がなるにはオスの木とメスの木が必要とか

そのようなtyrniを伊達市大滝区の知人の藤田さんの畑で見かけてビックリ。前回草取りに来た時には実はなっていなかったはず。片方の木は葉が落ちている代わりに、オレンジの実がぎっしり枝になっています。もう一本の木には数年前フィンランドのボスニア湾沿いの海岸地方で見た木のように、葉と今後熟していくのだろうと予想される黄色めの実がなっていました。

フィンランドのtyrni

 

 

 

数年前旧留学生Ullaのお母さんに作ってもらったtyrniのパイ、本当に美味しかったことを思い出します。藤田さんはこのtyrni、どう活用するつもりかな?まさか鳥の餌にするにまかせるつもりじゃないですよね。

kymmenes elokuuta 8月10日(の私)

昨日は珍しく朝からちょこちょこあちこちに出かけ、夕方くたびれて帰宅しました。昨日何をしたか、入門・初級で勉強している方のために、いくつかの名詞につき格変化させずに辞書形で記します。中級以上の方は「午前」はaamupäivä、でも「午前に」はどうなるか、といった格変化を考えてみると勉強になると思います。

午前(aamupäivä)には、Siljaと畑(pelto)でミニトマト(kirsikkatomaatti、「チェリー」+「トマト」)、ナス(munakoiso)、ピーマン(paprika)などを収穫。長靴(saappaat)を普通の短靴に履き替える。帰り道、格安スーパーで買い物(ostos)した後Siljaとさよなら。その後市内中心部(keskusta)へ。午後1時半から協会常務理事でもある佐藤美津子さん門下生3ユニットによる「夏の散歩道コンサート(konsertti)」でカンテレ(kantele)、ヴァイオリン(viulu)、アイヌのトンコリなど楽器の音楽(musiikki)を楽しむ。会場では佐藤さんの他、ご主人、白井理事、旧受講生などの元気な姿を見ることができ安堵。

コンサート後は駐車場(parkkipaikka)までの道すがら、道産品販売ショップ・沖縄ショップで、またまた買い物後帰宅。

話は変わりますが、昨日の北海道新聞朝刊に、「首相のあいさつ広島と文面酷似」との小さな記事の中に「6日と9日に広島市、長崎市の両被爆地でそれぞれ開かれた平和式典での安倍晋三首相のあいさつの文面が酷似しているとして、被爆者から『何のために被爆地まで来たのか。ばかにしている』と怒りの声が上がった。」との文章がありました。おそらく自分の言葉で語ることはせず官僚の作文の棒読みで済ませたのだとは思いますが、ことばに関わる者としては戒めとなる出来事と記事でした。

今日と明日の授業でクラスの授業は夏休み(kesäloma)になります。今日の火曜上級サークルでは中・上級用のテキストsuomea suomeksi 2を修了予定です。修了の皆さん、4年強の勉強、よく頑張りました。今後もどうぞよろしくお願いします。

kesäkurpitsa ズッキーニ

2020年7月25日

8月(elokuu=「収穫月」)に入り、例年ならそろそろ夏休みという時期なのですが、コロナ禍のおかげで夏休み開始が大学も、フィンランド協会の授業も先送りになり、バタバタと忙しく時間が過ぎていきます。どのくらいの方がこのブログ欄をたまに覗いてくださっているか見当もつきませんが、2週間くらいお休みになっていました。

弟の家族、それからSiljaと、気分転換、趣味とわずかな実益を兼ねてやっている市民農園のズッキーニが豊作です。1株しかないのですが写真はすべてその1株からとれたもので、その後もたくさん収穫しています。近所からも断れずにいくつか貰ったので、今年はズッキーニ豊作の年かな?

ズッキーニkesäkurpitsaは「夏」(kesä)+「カボチャ」kurpitsaのわかりやすい発想の複合語です。Kesäは既に語彙に入っている方も多い語かと思いますが、実はフィンランド語の東西の方言差の例としてよく持ち出される語で、このkesäはもともと代表的な東方言です。一方西方言の「夏」はsuvi。Kesäはファーストネームとして用いられませんが、Suviはよくある女性の名前です。日本なら「夏子」さん、何年か前のヘルシンキ大学からの留学生にもSuviさんがいました。

フィンランドのズッキーニ

カボチャkurpitsaはいつもお世話になっているKaisa Häkkinen著『現代フィンランド語語源辞典』によれば、ラテン語のcucurbitaがスウェーデン語のkurbitsを経由してフィンランド語に入ってきた比較的古い外来語とのこと。Kurpitsaという語形の初出は1642年発行の聖書、それより前世紀のミカエル・アグリコラもカボチャに言及していますがkurbitaという形で紹介しています。

ズッキーニはフィンランドでも夏によく食べられる野菜です。

ummikko 【英語】=person who speaks only his own language, person who cannot speak any other language expect his own

何語も費やさなくてもその一語で事足りる、他言語だと何語も費やして説明しなければならない、そういう語ってありますよね。その点でummikkoは私の好きな語で、英語だとタイトルのように15語以上も説明に必要な語です(WSOY刊Uusi suomi-englanti suursanakirjaの説明)。

フィンランド語の国語辞典であるSuomen kielen perussanakirjaではummikkoは”ihmisestä joka osaa vain äidinkieltään tai ei ymmärrä sen maan kieltä, jossa oleskelee”(「①母国語しか話せない人、あるいは②滞在している国の言語が理解でない人」)と少し広い解釈になっています。

好きな語と言いながら上記②の解釈をすっかり忘れていましたが、語源のumpi-「閉じた、塞がった」とそこからの派生語、たとえばumpikuja「袋小路、[比喩的に]行き詰まり」、umpisuoli「盲腸」などを考えると②の意味合いが理解できると思います。

umpi-は「全くの、完全な」といった意味合いで使うこともあり、umpisapporolainenと言えば「生粋の札幌っ子」的な意味合いになり、私もちょっとふざけて使ったりします。umpiosakalainenなら「コテコテの大阪人」といったところでしょうか。

osteri 牡蠣

前回に続いて食べ物の話です。行きつけの市内美園(みその)の居酒屋が今月いっぱいで店を閉めることになり、残念な思いをしています。「昭和」ムード満載で、持ち込みOK、いつもおいしいものを出してくれるだけでなく、食べ物の調理法や旬(sesonki)のことを教えてくれる素敵なママさんなのですが、寄る年波には勝てず仕入れがつらくなったこと、またこのコロナ禍で、40年近い歴史を持つ店をたたむ決心をしたようです。フィンランド人たちともよく行ったし、例外なくみんなが気に入ってくれる店だったので、本当に残念です。

「Rのつかない月(5月~8月)には牡蠣を食べるな」ということわざが欧米にはあるようで、昔英語の授業でも確かにそう習った記憶がありますが、先日その居酒屋で本当においしい根室産のカキ(「牡蠣」は自分で漢字で書けなくなってしまって、なんだか恥ずかしいので、以下カタカナで表記します)を食べました。

カキはフィンランド語でosteri、英語のoysterにかなり近い外来語です。英語のoysterも含め、ギリシャ語の「骨」を表す語からラテン語経由で多くのヨーロッパの言語に広まったようです。フィンランドでは1800年代後半までostronという形が使われ、Elias Lönrotの1880年の辞典には、ostroniと現在のosteriの両方の形が紹介されています。他にsaksansimpukka(「ドイツの二枚貝)、syömäsimpukka(「食べ(られ)る二枚貝」)の名称もあったそうです。(Kaisa Häkkinen著『現代フィンランド語語源辞典』による)

もうあんなにおいしいプリプリのカキは食べられないと思っていたら、閉店を知った根室の知人の漁師さんがもう一度月末にママさんのところへ送ってくれると約束してくれたそうで、ぜひもう一度食べに行こうと思っています。

täytetyt herkkusienet 詰め物をしたマッシュルーム

写真は私の知人のPertti(愛称Pepe)が夏の別荘で調理している様子とその料理。どんな料理か分かりますか?大き目のマッシュルーム(herkkusieni)の石突(kanta)を取り、さかさまにした傘にブルーチーズ(homejuusto、home「カビ」+juusto「チーズ」)を詰め、ベーコン(pekoni)で巻いて焼いたもの。詰めるチーズはブルーチーズ以外でもOKです。石突も捨てずに食べましょう。夏を思い出させる私も好きな料理で、家でも道産子が大好きな焼肉の際に作ってみたことが何度かあります。

この料理、何とフィンランド語で呼んだらよいか知らなかったのですが、täytetyt herkkusienet「詰め物をしたマッシュルーム」が良いようです。文法的にはなかなか難しく、「詰める、満たす」という動詞täyttääの受動過去分詞täytetty「詰め物がされた」をherkkusieni「マッシュルーム」の変化(辞書形→複数主格形)に合わせて変化させたものです。tt:tのkpt変化が起こっていることに注意してください。

 

 

私が担当の、テキストsuomea suomeksi 2を使っているクラスで勉強している皆さんは、10課のs66でtäytettyjä paprikoita「詰め物をしたピーマン」が出てきたことを思い出してください。こちらはtäytetty paprikaの複数分格形です。