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フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

herne エンドウマメ(グリーンピース)

留学時には大変お世話になりました

2月末の月曜初級コースの最終授業で紹介。herneから作ったスープ、hernekeittoはフィンランド人のソウルフードの一つではないかと思います。herneは-e終わりなので単数属格はherneen単数分格はhernettä複数分格はherneitä複数属格はherneiden / herneittenと少し難しい変化になります。

昔からtorstai(「木曜日」)はhernekeittoを食べる日と言われていて、今回その理由を調べてみました。有力な説として、何百年も前に遡るのですが、 宗教改革前のフィンランドでは、カトリック教徒にとって金曜日は断食の日でした。そのため、木曜日にはできるだけ栄養価が高く、腹持ちの良いものを食べなければならず、エンドウ豆のスープが格好の食事となったようです。

なお、「大豆」はsoijapapu(「醤油(正確にはsoijakastike)」+「豆」)、「豆乳」はsoijamaitoです。こちらも知っていると便利です。

puolukka コケモモ

2017年9月5日Ruovesi町で

2月24日の月曜初級コースで紹介。ベリー類は-kkAで終わる語が多いですが、イチゴやブルーベリーは皆さんの語彙に入っていますか?これらは授業で使っているsuomea suomeksi 1と2には出てきませんが、ベリー類はフィンランド人の食生活に密接に関係しているので、知っていると便利です。イチゴはmansikka、ブルーベリーはmustikkaです。コケモモ(puolukka)は北海道でも高山帯や道東でわずかに見られますが、フィンランドでは非常にポピュラーなベリーで、写真のような光景は日当たりの良い森の中や道端などでも普通の光景です。

これらの語はkk:kのkpt変化が関係しますが、よく使う複数分格はコケモモでいうとpuolukoitaとpuolukkojaの2形が許されており、テキストss1の27課で扱う複数属格は、puolukoiden, puolukoitten, puolukkojen, [puolukkain]と4つも形が存在します。複数分格と複数属格はkpt変化が関係する語は通常強階程(この場合はkk)になりますが、-kkA終わりのベリーを表す語はpuolukoitaやpuolukoidenのような弱階程(この場合はk)の形がポピュラーなので注意が必要です、

私の主観がかなり入りますが、フィンランドではイチゴは7月、ブルーベリーは8月、コケモモは9月が旬というイメージがあります。

kansallispuisto 国立公園

北海道の新しい国立公園の名称が長すぎるのではと論議を呼んでいますが、フィンランド語では国立公園はkansallispuistoです。puistoが「公園」なのは多くの学習者の語彙に入っていることを願いますが、前半部分のkansallis-はkansallinen「国民の、国立の」という形容詞が複合語で使われるときの形で、同様なものとしてpohjoinen「北、北の」が複合語になるときはpohjois-という形を使います。たとえばわれわれにとってちょっと厄介な隣人(ああ、今日ちょうどなでしこジャパンとの一戦がありますね)は通常Pohjois-Koreaと言います。kansallismuseo「国立博物館」なども知っていると便利な語です。

写真はTampereからそうは遠くない、しかし車がないと訪問が難しいSeitseminen国立公園の入り口の看板ですが、フィンランド語では通常「~の国立公園」と言うので、Seitsemisen kansallispuistoと属格で表記する方が普通かもしれません。なので「大雪山国立公園」はフィンランド人ならTaisetsuzanin kansallispuistoと「ん」の音のあとに母音iを挟んで、属格のサイン-nを付けて言ったり書いたりする人が多いと思います。

presidentinvaali(t) 大統領選挙

決選投票前日、Arabiaのデザイン美術館前の公園

2月は私にとっては稀有なヘルシンキ出張(現地滞在実質4日間)、その後のW杯男子ジャンプ(札幌大倉山競技場)の手伝いなどイベントが続き、それらのために休講にした授業の振り替えなどでまだあたふたしています。

ヘルシンキ滞在中の10日に大統領選の決選投票がありました。投票率は約70%(直接投票)、新大統領となるAlexander Stubb氏の得票率が51.6%、対抗馬のPekka Haavisto氏の得票率が48.4%と大接戦でした。決選投票前にはHaavisto氏がかなりの追い上げを見せており、決選投票があと1週間遅かったらHaavisto氏が新大統領になっていたかもしれません。

投票日の日曜日はヘルシンキもマイナス15度近い冷え込み、内陸部はもっと冷え込んだ地域もあったようで、これが投票率に影響を与えた可能性もありそうです。

私が感心したのは、日曜日の午後10時頃にはすでに開票率100%になっていたこと、そして日本ではありえない、無効票の内容の一部がすぐに翌日の紙面に写真入りで紹介されていたことです。決選投票には進めなかった候補者名の他、「ドナルト・トランプ」、「ドナルドダック」、投票用紙に自分の意見や詩を書いている有権者もいました。1回目の投票に比べると無効票の割合は増えたそうです。

現地で知人がStubb氏の顔写真を拡大してビアスの穴の跡を示しながら「フィンランドでは男性のピアスも別に問題ないけど、大統領候補ということで、一応外して写真撮影したかな」とコメントしていました。

Hyvää alkanutta vuotta 2024! 明けましておめでとうございます。

元旦早朝の「シベリウス号」、サンクトペテルブルク行き

語学講座の皆さん、それから一体何名の方がこのブログ欄をご覧になっているか全く見当がつきませんが、明けましておめでとうございます。

今年は辰年、「龍・竜」はlohikäärme(lohi「鮭」+käärme「蛇」でしたね)。

お正月を外国で過ごしたことが、留学時代を含めて数回ありますが、直近は2008年にまで遡ることを、写真を整理していて気づきました。

この時は大晦日をヘルシンキのミュージシャン宅でお世話になり、元旦の朝、ヘルシンキ中央駅からサンクトペテルブルクへ向かっていました。

今の世界情勢を考えると、ロシア訪問はハードルが高すぎますが、その状況ができるだけ早いうちに改善されることを祈っています。

同日午後サンクトペテルブルク・フィンランド駅到着

grönlantilainen olut グリーンランドのビール

Joulu on ovella.クリスマスも間近です(文字通りは「クリスマスはドア(ovi)のところにある」)。

北大の森太郎先生のグリーンランドのお土産にビールをもらいました。先日飲んでみたのですが、とてもおいしかったです。

グリーンランドはフィンランド語でGrönlanti(Englanti(イギリス), Irlanti(アイルランド), Islanti(アイスランド)同様nt:nnのkptが関係します)、öは[ö:]のように長く伸ばして発音するのが普通です。「グリーンランドの」、「グリーンランド人」はgrönlantilainenですから、「私はグリーンランドのビールを飲みました。」は、(Minä) join grönlantilaista olutta.(目的語は単数分格)ですね。

ほのかにハーブの香りがするビールを飲みながら、数十年前アイスランドを訪れた時に、そこからさらにグリーンランドへ航空便が出ていることを知り、ぜひ行ってみたかったのですが、航空運賃の高さのため断念したことを思い出しました。

デンマーク語ですね

nukke 人形

11月13日の月曜初級コースで紹介。-e終わりの語は単数の格変化(分格を除く)は-ee+格語尾ですが、この語はそうなりません。ただしkk:kのkpt変化あり。したがって、単数属格はnuken単数分格は(5) nukkea、比較的よく使う複数分格はnukkeja

このように-e終わりでnukkeと同様の変化をする語として、数詞のkolme(単数属格kolmen)、「自身」のitse(同itsen)、AnneやJanneのようなファーストネーム(同Annen, Jannen)などがあります。

写真の「指人形」はsorminukke(「指」+「人形」)。友人が住むRuovesiのバスターミナル内のフリーマーケットで見つけました。町内在住のご婦人の手作りで、たしか一つ2ユーロだったかと思います。白樺で作った台も一緒に売っておりちょっと惹かれたのですが、こちらは荷物になると思い購入しませんでした。指人形は現在100円ショップで買った木の台に飾られています。

töhötin ガスバーナー

10月下旬某居酒屋にて:
「ねえ、töhötinってスラング知ってる?」古い友人で来道中のカンレテ奏者Eva。
「全然聞いたことない単語だけど。」と私。
「普通の言葉だとkaasupoltinかな。」Eva。
「ああ、『ガスバーナー』のことね。」私。
「最近結構使われている言葉かな。」Eva。

なぜ「ガスバーナー」が突然話題になったか正確には覚えていませんが、越後栃尾の油揚げや軽く表面を炙った魚を前に、Evaがバーナーを連想したのかもしれません。

フィンランド語も次から次へと新しい言葉が生まれてきますから、それらに追いついていくのは大変です。一方、すぐに使われなくなるスラングも多いことと察します。

-inで終わるフィンランド語は山ほどありますが、名詞の辞書形が-in終わりの場合は「道具」を表すことがほとんどだと知っていると便利です。「電話」、「鍵」などの辞書形を思い出してみてください。

kaivo 井戸

Mikkeli, 14/8/2017

10月16日の月曜初級コースで紹介。テキストss1・ss2には登場しない語です。この語は動詞kaivaa「穴を掘る、掘り返す(タイプⅠ)」を基とする名詞。単数属格kaivon単数分格kaivoaと変化は簡単、複数分格kaivojaです。

写真は私の先生のSeijaさんのMikkeliの実家にある井戸で、飲用もできたと記憶していますが、夏の朝の起床後、冷たい井戸水で顔を洗うと本当に爽快な気分になったことを覚えています。

併せて覚えたい語にkaivos「鉱山」があり、単数属格kaivoksen単数分格kaivosta複数分格kaivoksiaと少し難しい変化になります。ちなみに「炭鉱」は、hiili「炭」を前につけてhiilikaivosです。

Edo (Eetu-Antti)

Joona君に続き、新たなフィンランド人がこの秋来札しました。Eetu-Antti Hartikainen君、愛称Edoです。

今年の2月、友人と来札中の彼と会い、一緒にサウナに行ったのですが、その際、サウナをテーマにヘルシンキ大学の修士論文を書いており、卒業後は北海道大学で研究を続けたいと聞いていました。その夢がほぼ叶いかかっており、現在は北大国際広報メディア・観光学院の研究生で、順調にいけば来年度から博士課程の学生となります。

先日忙しい中、北大の授業に顔を出してくれました。ヘルシンキ大学では日本語・日本文化が専攻だったので、日本語は大変上手です。フィンランド協会のフィンランド語の授業やイベントにも顔を出してくれることを期待しています。11月23日の協会の独立記念日祝賀会には、Joona君もEdo君も参加予定です。