ブログ | フィンランド語講座
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フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

linnunrata 天の川・銀河

天気が悪かったせいか今日が七夕であることをすっかり忘れていました。「天の川」は東アジア諸国では夜空の光の帯を川(河)に見立て、また、多くの欧米諸国ではギリシャ神話に由来することもあって英語のMilky Wayのように「乳」と見なすことが多いようですね。

一方フィンランド語はlinnunrata(lintu「鳥」のrata「コース、軌道、道筋」)と、ちょっと異なった発想で描写しています。私が頼りにする2種類の語源辞典にもlinnunrataに関する記載はありません。

まだ詳しくは調べていないのですが、バルト・フィン語(代表的なものはフィンランド語とエストニア語)を話す人々の世界観、彼らにとって特別な鳥であるjoutsen「白鳥」、その「渡り」といったことが、このちょっと変わった天の川の描写に関係あるようです。

興味深いテーマですが、当分はゆっくり調べる暇はなさそうです。残念。

heinäkuu 7月

7月はheinäkuu「干草の月」、今でも田舎へ行くと牧草の刈り取りや牧草干しを見ることができます。7月は平均して雨が少ないこともあり、干草作りに適していたのでこの名前がついたのだと思いますが、最近は8・9月が意外と晴天が続くことが多いようです。私が2017年の8月~9月の2か月間フィンランドを訪れた際には、一度も傘を使わずにすみました。その前の7月は天気が悪い日が続いていたので気を揉んでいた記憶があります。

heinäは最近よくお世話になっているKaisa Häkkinen著Nykysuomen etymologinen sanakirja「現代フィンランド語語源辞典」によれば、古いバルト・スラブ語(ラトビア語やリトアニア語の祖語)からの借用(現代ラトビア語では干草はsiens)だそうで、ミカエル・アグリコラの時代から使われている語です。「草」はフィンランド語でruoho、こちらもアグリコラ時代から文献に現れている古い語ですが語源には諸説あるようです。

干草作りは田舎の夏の風物詩ともいえるもので、私も2、3回大して役に立たない労働力として手伝ったことがありますが、天気の良い間に一気に済ませてしまいたい大がかりな作業なので、talkoot(説明しずらいのですが、町内会活動のようにボランティアで近所や親戚の手伝いをすること)で行うことが多いようです。「牧草地の照り返しが思ったよりものすごく強いから、黒い服を着て仕事へ行ってはダメよ」と友人のお母さんのMaijaに何度も心配してもらったことを思い出します。

timjami eli tarha-ajuruoho タイム(timjamiあるいはtarha-ajuruoho)

プランターに植えてあったタイムが春に芽吹き、今は小さな白い花を咲かせています。一年生の草本かと思っていたのですが、多年生の木本(小低木)だったのですね。

タイムは、伊達市大滝区で作っているレッドビーツ(punajuuri)でボルシチ(borssikeitto)を作る時に必ず入れています。先輩で友人でもある大滝の藤田さんは私が作るボルシチは「土臭くなくていいね」と褒めてくれますが、パセリ(persilja)やディル(tilli)の他にタイムを入れているのが効いているのかもしれません。

タイム(timjami)はもともとは「香(こう)」を表すギリシャ語が、ラテン語、古スウェーデン語を経由してフィンランド語に入ってきた語のようです。古代エジプトではミイラ(muumio)の防腐剤としても使われていたとか。フィンランド語の書き言葉の父ともいえるミカエル・アグリコラ(Mikael Agricola(1510頃‐1557))の時代はtimjaniという形をしていて意味はやはり「香」という意味、その後スパイスとして用いる植物としては1683年にエリアス・ティランツ(Elias Tillandz)が著した植物誌が初出のようです。
(参考文献:Kaisa Häkkinen著 Nykysuomen etymologinen sanakirja『現代フィンランド語語源辞典』)

昨秋収穫して藤田さんの冷蔵倉庫に保管してあった最後のビートをもらってきたので、これを使って今晩はボルシチかな?!

koronaan liittyviä sanoja 2 コロナ関連語句2

そうそう、1語忘れていました。Nettaによればフィンランドではkoronanjälkeinen「コロナ後の」という新しい形容詞が生まれているそうです。koronanjälkeinen syksy「コロナ後の秋(そうなってほしいものですが…)」とかkoronanjälkeinen elämä「コロナ後の生活」のように使います。もちろん形容詞ですから理論上は単複10格以上に格変化します。

koronaan liittyviä sanoja コロナ関連語句

水曜上級サークルのHさんからコロナ関連語句を紹介してほしい依頼を受けたのに応えるのが少し遅くなりました。いくつか紹介します。語彙選定に当たってはNettaのアドバイスを受けました。

≪基本語彙・言い回し≫
koronavirus コロナウイルス(通常はkoronaだけで通じます)
-Minä sain koronan. 「私はコロナに罹りました。」←sainは動詞saada「得る」の過去形一人称単数形
-Minulla on korona.「私はコロナに罹っています。」←所有文(参考:ss1の7課)
maski 「マスク」→2 maskia「2枚のマスク[単数分格]」、monta maskia[単数分格] = paljon maskeja[複数分格]「たくさんのマスク」
pandemia 「パンデミック」
≪応用≫
saada tartunnan[辞書形tartunta「感染」、nt:nnのkpt変化あり] 「感染する」≒tarttua
tartuttaa 「(他人に)感染させる」
koronarajoitus 「コロナによる様々な制限」
koronapolitiikka 「(対)コロナ政策」
koronavirustilanne 「コロナウイルス(感染)状況」
riskiryhmä 「(高齢者、妊婦など)感染リスクが高いグループ」
-kuulua riskiryhmään 「(高齢者、妊婦など)感染リスクが高いグループに属している」←kuulua + 入格「~に属す」
koronakevät 「コロナの春[2020年の春を称して]」

少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

手、洗って! te alatte

「日本語のように聞こえるフィンランド語」、その逆で「フィンランド語のように聞こえる日本語」、フィンランド語を勉強していると感じる時ってありますよね。あるフィンランド人は、初めて日本に来た時、日本人たちが夜にOjassa minä sain.「堀[水路]の中で私はつかまえた」と言っているように聞こえたと言ってました。「おやすみなさい」です。

先日個人授業で動詞の人称変化の復唱をしている時に高校生の生徒さんが急にクスッと笑ったのでどうしたのかなと思ったのですが、私が急に「手、洗って!」といったように聞こえたようです。動詞alkaa(「~し始める、始まる」タイプⅠ、k:Φ[消える]の最も難しいkpt変化あり)の人称変化、minä alan「私は~し始める」、sinä alat「あなたは~し始める」、hän alkaa「彼/彼女は~し始める」、me alamme「私たちは~し始める」の次、te alatte「あなたがたは~し始める」でした。

alkaaは過去形の変化もaloin, aloit, alkoi, aloimme, aloitte, alkoivatと難しいので注意です(ss1の19課s120最初の■参照)。また、「~し始める、始まる」という場合は主に、①ruveta(タイプⅣ、p:vのkpt変化あり)+-mAAnか②alkaa+動詞の辞書形を使っていたのですが、①からの類推で③alkaa+-mAAnと言ったり書いたりするフィンランド人が続出し、私がフィンランド語を習い始めた頃は③は誤用だったのですが、最近はこれも許されています。この話題は中・上級コースでテキストss2の6課(s45Huomatkaaの3つ目の■)で私は言及しています。

Hyvästi lempi-T-paitani! さらば大好きなTシャツ!

暑がりで一年中室内ではTシャツでいるたちなので、フィンランド人からのお土産の中でもTシャツはありがたいものです。室内でも、また時にはフィンランドのPRも兼ねて外でも着ていればいつかは寿命が来ます。私のお気に入りのTシャツの何枚かも最後の時を迎えつつあります。

写真のアーリッカ(Aarikka)のTシャツは古い友人でカンテレ奏者のEva Alkulaからもらったお気に入り。生地が薄くなり、首回りがボロボロになり、いよいよ雑巾かウエスになる運命です。

描かれている動物はヘラジカ(hirvi)。北部のトナカイ(poro)なら自動車と衝突すればトナカイさんだけがあの世行きですが、フィンランド南部~中部に生息するヘラジカの場合は通常人間もお陀仏です。

このような大型動物のヘラジカですが、肉が本当においしいんです。トナカイはそれなりの値段を払えばスーパーでも買えますが、ヘラジカは狩猟を趣味としている知人などがいないとなかなか手に入りません。

アハタリ(Ähtäri)動物園で

最後にちょっとだけ文法を。hirviのように-i終わりの名詞・形容詞は変化が何パターンかあり難しいですよね(参考:テキストss1のs60)。hirviはnimi「名前」やniemi「岬、半島」そしてSuomi「フィンランド」と同じパターンです。したがって、
・1頭のヘラジカ (yksi) hirvi
・2頭のヘラジカ kaksi hirveä(単数分格)
・たくさんのヘラジカ monta hirveä(単数分格)、あるいはpaljon hirviä(複数分格)
・(1頭の)ヘラジカの hirven(単数属格)
・(複数の)ヘラジカたちの hirvien(複数属格)
となります。単数分格のhirveäが、「すごい、ひどい」に相当する形容詞とたまたま同形になるので注意しましょう。

 

raparperi ルバーブ

昨日の金曜上級コースには久しぶりにNettaが参加してくれ、私も嬉しかったですが、授業参加された皆さんもいろいろと参考になったことが多かったと思います。今年の春をkoronakevät「コロナ(の)春」とフィンランドでは呼んでいるようですね。そのうちPrahan kevät「プラハの春」のように歴史の教科書にも載るような語になるのでしょうか…コロナ関連の語彙を紹介してほしいという要望が受講生の一部からあったので、近いうちにいくつかの語彙や言い回しだけになると思いますが、このブログ欄で紹介することを考えています。

今週火曜日に伊達市大滝区で畑仕事をしてきました。種蒔きが主でしたが、今年はルバーブの成長が良くて楽しみです。Nettaが授業に来てくれたのも、ルバーブを賄賂として送っておいたのが効いたかもしれません(ルバーブパイを作ってみると言っていました)。

 

さっそく帰宅後ルバーブジャム(raparperihillo)を作りました。作り方は本当に簡単で、洗って2cmくらいの長さに切ったルバーブ、お好みの量の砂糖とレモン汁を鍋に入れて10-12分ほど煮るだけ、水も入れる必要がありません。私のようなものぐさでも簡単にでき、まず失敗することもありません。茎が緑だと緑色のジャムが、今回のように赤みを帯びた茎が多いとピンク色になりますが、味は特に変わらないと思います。ピンク色っぽいジャムの方が見栄えが良いので好む人が多いようではありますが。

話は変わりますがraparperi、巻き舌が苦手な人には攻略が難しい語の一つかもしれません。

2020年度フィンランド語入門講座を9/5(土)に開講します

6月第1週スタートを予定していた本年度のフィンランド語入門講座は、9月5日(土)に開講日を延期します。
再度の延期となり、そして皆さんへのご連絡が直前となってしまい、大変申し訳ございません。
今後、さらに延期することはありません。
以下に講座の概略をお知らせいたします。

【初回授業開講日について】
2020年度のフィンランド語入門講座は、9月第1週の9/5(土)に開講します。
今後、再度の延期はありません。

【今年度の授業日程について】
来年3月まで3期30回の授業を予定していましたが、2期20回に変更いたします。
※場合によっては全5回の第3期を2~3月に実施する可能性があります。

【授業形態について】
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンライン会議ソフト「Zoom」を使用して授業を行います
将来的には従来通りの対面授業の形態に戻すことも考えていますが、少なくとも年内はオンラインによる授業となります。

【北海道フィンランド協会年会費について】
語学講座受講を目的として当協会に入会される方については、事務処理上、入会の期日を令和2年10月1日とさせていただきます(実際の入会後、当協会からの連絡・発送物などありましたら10月1日以前でも送らせていただきます)。
また、年会費を半年分(一般1,500円、学生1,000円)といたします。
語学講座受講を目的として、既に入会の手続きを済ませた方については、半期分を返金いたします。
なお、今回の開講時期延期と、遠隔授業による開講ということで受講を見送る方は入会金・年会費の全額を返金いたします。
お手数をお掛けし申し訳ございませんが、返金先の金融機関名、口座番号、名義等をお知らせ下さい。

【テキスト等について】
使用するテキストや、授業時間については変更ありません。
また、9月の開講に先立ち、オンラインによる授業に慣れていくため、7~8月に数回テスト授業を行う予定です。
詳細は追ってご連絡いたします。

開講を心待ちにしていてくださった皆さんへ、今一度お詫び申し上げます。

 

フィンランド語入門講座担当  片瀬 康勝

syreeni/sireeni ライラック

5月31日(kolmaskymmenesensimmäinen toukokuuta、あるいはtoukokuun kolmaskymmenesensimmäinen)。明日から6月(kesäkuu「夏の月」)ですね。今日は恩師のSeijaさんの誕生日でもあります。Paljon onnea!「おめでとう!」

「小・中学校は6月1日から(8月上旬まで)夏休みだったので、終業式と重なることの多い誕生日が楽しみでした。」とセイヤさんはよく言っていました。

5月の花というと札幌市の市花(kaupnginkukka)でもあるライラックが個人的には浮かびます。5月下旬のさっぽろライラックまつりも中止になってしまいましたが、札幌では庭木として植えられていることも多く、家の周りを散歩していると満開の花をよく見かけます。しかし花期もそろそろ終わりですね。

ライラックはフィンランド語ではsyreeniあるいはsireeniどちらでもOKですが、後者には「サイレン」の意味もあります。このように稀にですが、どちらの綴りでもOKという語がたまにあります。フィンランド語のtoissapäivänäが日本語では主に「おとつい」派と「おととい」派に分かれ、でもどちらでもOK、というのに少し似ているかもしれません。

他にはフィンランド人の好物「リコリス」もlakritsiとlakritsaのどちらもOKです(スラングはlaku)。

注意するのはruoka「食べ物、食事」の格変化した場合です。この語は私が授業でいつも言っている最も難しいkpt変化、すなわちk:Φ[消える]の変化を持つ語です。したがって単数属格「食べ物の、食事の」はruoanとなります。このuoaという母音の3連続はkが消えることによって生じたわけですが、フィンランド語は基本的にできるだけ母音の3連続を避けたい言語なので、当該部分は多くのフィンランド人が[u:a](カタカナ書きだと「ウーア」)と発音しています。最初のうちは「ルーアン」という音を聞いて、あるいはruoanという綴りを見て、辞書形のruokaが思い浮かばないので苦労します。

フィンランド語は綴りと発音がほぼ一致しているのが「売り」なので、「ルーアン」という発音に合わせて、ruuanと表記することも許されてます。こちらの方は綴りを見た時にruokaとはより気づきにくくなっています。

最後に。出だしの『「31日」の序数、長すぎ!』と思われた方、発想を柔軟に!toukokuun viimeinen päivä「5月の最後の日」と言えば楽でしょ。