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フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

西野 芳美(にしの よしみ)

出身
北海道斜里郡斜里町
趣味
散歩、日本酒のおいしい居酒屋探し
フィンランド語とのかかわり
大学一年生の夏、お世話になっていた教授から「あなたはフィンランドに留学しなさい」と言われたのが始まりだったと思います。
「藪から棒だなあ」とあまり真に受けていませんでした。当時その先生はフィンランドの理科教育を研究してらっしゃったのですが、私はしがない文学部言語学志望でしたし。
それでも「フィンランド」が頭のどこかに残っていたのか、フィンランド語入門書を手に取り何気なく読み進めると、なんとまあ面白いこと面白いこと。それからはどんどんフィンランド語にのめり込んでいきました。
大学で開講されていた水本先生のフィンランド語入門クラスを受けたり、大学の講義が終わったら中島公園まで自転車を走らせフィンランド協会の講座に通ったり、自分のアパートで教科書にかじりついたり、親をどうにか説得してオウル大学に四か月交換留学したり、帰ってきてからフィンランド語のテーマで卒論を書きたいと言って指導教官を困らせたり、それでもアイヌ語の先生とウイルタ語の先生が私の卒論をおもしろがってくれたり。そうやって大学生活が過ぎていきました。
こんなに打ち込んだフィンランド語もきっと大学を卒業すれば、ただのいい思い出になってしまうんだろうなと何となく思っていました。大学卒業後私は地元の信用金庫に就職し、フィンランドと縁遠い生活を送ることになります。
しかし数年後、休暇を使ってフィンランドの友人を訪ねたときのことです。「フィンランド語、忘れてないんだね」と彼女は私に言い、なぜか嬉しそうでした。
ふと考えてしまいました。私が急に「フィンランド語なんて忘れてしまったよ」と言って英語を話し始めたら、彼女は寂しそうな顔をするんだろうか。それは何だか嫌だなあ。
その時に生涯フィンランド語にしがみつくことが決まったようです。仕事の傍らフィンランド語のニュース記事をちまちまと読む日々でした。
結婚後に北海道から関東へ引っ越した頃、オウル大学で知り合ったフィンランド人の友人が声をかけてくれました。
「今横浜なんだ。ザリガニパーティーやるからおいで」
フィンランド人も来るの? 来るんだ。久々にフィンランド語が使えるなあ。そう思い意気揚々と横浜海浜公園へ行くと、数人のフィンランド人と日本人がザリガニを食べたりお酒を飲んだりしていました。私がフィンランド語を使うと随分驚かれたものです。どうやら関東でもフィンランド語を話す日本人はめずらしいようです。そのうち、フィンランド人のパートナーがいるという日本人女性から声をかけられました。「フィンランド語、教えてくれませんか?」
フィンランド語を誰かに教えようなんて思ったこともなかったのですが、おもしろそうだし頑張ってみよう、そう考え毎週日曜ふたりだけのフィンランド語教室が始まったのでした。私がフィンランド語講師となったきっかけです。
それ以来オンラインでフィンランド語を教えたり、文学クラスをひっそり開いたりとフィンランド語講師の活動は続いています。日本語も勉強し直してフィンランド人向け日本語授業も始めました。フィンランド語と日本語の間をゆらゆら行ったり来たりするのは楽しい限りです。
そして縁あって、私もかつて学んだ北海道フィンランド協会語学講座入門クラスを担当することになりました。私の頃よりフィンランド語を学ぶ人が増えているような気がします。皆さんとフィンランド語との付き合いが楽しく(できれば)長いものになるよう、私も頑張ります。
よろしくお願いします。