lohi 鮭・サーモン
lohi(「鮭・サーモン」)は、ブログ欄で昔lohikeitto(「サーモンスープ」)を話題にした覚えがあるので、すでに同じような内容を取り上げているかもしれませんが、変化の難しい語です(特に単数分格形)。
私がフィンランド語を習い始めた時に使っていたテキスト中に、このようなやり取りがありました。
Jarkko: Onko teillä tuoretta kalaa?
Myyjä : On, esimerkiksi lohta.
Jarkko: No, otan pienen lohen, paljonko tuo lohi painaa?
≪以下省略≫
Jarkko君が「所有文」を使って『あなたがたのところ(=あなたの店)には新鮮な(tuore)魚(kala)はありますか?』と単数分格形を使って聞いたところ、店員さんは『はい、たとえばサーモンが。』と単数分格形で答えています。このやりとりで出てくる青字の単数分格形はtuore→tuoretta、lohi→lohtaと変化も難しいですが、単数分格の難しい用法です。サーモンは新巻鮭のように1匹そのままで売っている場合もあれば、切り身で売っている場合もあります。ましてや一般的な魚だと何匹いるかわからない小魚が一山いくらで売られている場合もあります。このtuoretta kalaaやlohtaはそのような様々な形態で売られている魚やサーモンを漠然と、かつ包括的に表現しています。
Jarkko君は「えーっと、小さなサーモンを1匹もらいます、そのサーモンはどのくらいの重さがありますか?」と返していますが、彼が欲しいのは間違いなく1匹のサーモンです。この「1匹」は「小さい」という形容詞も含めて、赤字の-n(単数対格形)が表しています。
最後の「そのサーモン」は文の主語ですから、単数主格、つまり辞書形のlohiを使わなければなりません。たった3行のやり取りの中にlohiという単語が3つ形を変えて登場しています。このような使い分けはなかなか難しく、初級者にとっては悩みの種となることでしょうが、格変化は少々間違っても通じますので、あまり神経質にならずに、正しい形を使えたら儲けもの、くらいの気持ちでいたほうが良いかと思います。