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フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

pisama ジャクランハン

音だけ聞いても「何のことだろう」、「漢字でどう書くんだろう」、「そもそも日本語?」と思ってしまう語ってありますよね。ジャクランハンは雀卵斑、漢字で書けばイメージが湧きますが「そばかす」のことです。知りませんでした。

最近はフィンランド語の単語が覚えられなくなったり、思い出せなくなったり、そのたびに辞書の助けを借りるのですが、何で突然そばかすが出てきたかというと、pisamaという語の意味が思い出せずに、調べたところ「雀卵斑、そばかす」だったのです。pisaraは「雫(しずく)」というのは覚えていたのですが、pisamaの方はすっかり忘れていました。

そばかすはシミの一種だそうですが、必ずしも敵視されずにチャームポイントになる場合もありますよね。一方加齢などを原因とするシミはすっかり悪者扱いされていますが、こちらはkesakkoが良いようです。

どちらの語も複数変化することが多いと思います。suomea suomeksi 1の26課(複数分格)と27課(複数属格)に関連しますが、pisamaの変化は比較的簡単で、pisamia(複数分格)、pisamien(複数属格)です。 いっぽうkesakkoは-kkoという語尾をしていることと、kk:kのkpt変化が絡むので大変厄介で、複数分格はkesakoita / kesakkojaのどちらか(前者の方がややポピュラーか)、複数属格はkesakoiden / kesakoitten(前者より口語的) / kesakkojenと3種もあります。複数分格と複数属格はkpt変化が関係する場合は通常強階程(=並びの左側、ここではkk)になるので、kが1つしかないkesakoitaやkesakoidenは大変例外的です。最後の部分はちょっと難解だったかと思いますが、よく使う語ではlaatikko(「箱、引き出し」)がkesakkoと同様の変化をします。

遊びでフィンランドを体験してもらいました

ユッシの雄姿

2月13日(土)、さっぽろ青少年女性活動協会主催の「あそびで体験!フィンランド」のイベントが東区モエレ沼公園内の、モエレ山(標高62.4m、東区唯一の「山」)と隣接するガラスのピラミッド内で行われ、北大大学院のシリヤとユッシに講師を務めてもらいました。

定員は15名。1月下旬に募集をかけたら近隣の小学生を中心にあっという間に定員を満たし、その後も多くの問い合わせがあったそうです。子どもたちだけでなく、ご両親がたにもフィンランドは親しみが持てる国になってきているようです。

小学生対象のイベントは初めてだと言いながら、両名はなぜこのラスキアイネン(Laskiainen、今年は2月16日)の時期にそりすべりをするのかという説明を要領よく行い、40分程度外で子どもたちと一緒に雪遊びを楽しみました、室内に戻った後子どもたちは、フィンランドから輸入したお菓子も食べながら、フィンランドの食べ物や給食などの食文化、オーロラやクリスマスの秘密について両名からの説明を聞き、スライドショーと動画に見入っていました。参観の保護者の方も大変熱心に両名の話に耳を傾けていました。

プログラムの最後には2レーンに分かれ、2チーム対抗のモルックを行いました。子どもたち全員が初めての体験でしたが、私が補助を行ったレーンは最後は50対49の大接戦で、子どもたちからも楽しかったという声を聞くことができました。主催者が関係する市内の児童会館で、今後備品として置けるかもしれないと朗報も聞きました。シリヤとユッシ、お疲れさまでした!

保護者も熱心に参観

シリヤの尻すべり

uusi haaste 新しい挑戦

この夏から数年の予定でフィンランドに赴任する関西在住のNさんの奥様Kさん、10歳で小4のD君、8歳で小2のW君に、先月末からフィンランド語の個人授業を行っています(3名一緒に受講)。中学生には指導経験がありますが、小学生向けの授業は初めてで、まさに新しい挑戦です。

お二人のお子さんは英語も習っているようなのでアルファベットには慣れており、通じるフィンランド語のための「ローマ字読み」は大丈夫ですが、文法用語は使ってもほとんど理解してもらえないので、どう嚙み砕いて説明するか苦労しています。

とはいえ、難解な文法用語は使わないでもフィンランド語のしくみがそれなりに理解してもらえれば、成人向けの授業にも役立てることができますし、興味と集中力をもって授業に参加してもらうために、休憩を設けたり、クイズやゲームの要素を取り入れることが必須で、これらも成人向けのクラス・個人授業に生かせたらと、頭を悩ませながらも新しいアイデアを捻出中です。

erittäin hieno suomalainen (koivu)shampoo すごく素晴らしいフィンランドの(白樺)シャンプー

入浴時にフィンランド気分を味わおうと思いたち、相当前に確かセレクトショップVaasäさんで購入した青(sininen)、と前回のフィンランド旅行時に購入した緑(vihreä)のシャンプーを使い始め、青をちょうど使い切りました。

昔は青のボトルしかなかったと記憶しているのですが、一番下にkaikille hiuslaaduille (kaikki「すべての」、hius/laatu「髪/質」へ/用)と書いてあり、緑の方はmieto ja hellä「マイルドで繊細な」と記されています。

フィンランド語は語頭に子音が二つ並ぶことはないので、外来語のシャンプーもsampooと書き、「サンポ―」のように発音していましたが、語頭に2つ、あるいは3つ子音が並ぶこともよくある英語に特に若い世代が慣れたせいか、標記もshampoo、またフィンランド語には本来ない「シャ、シュ、ショ」のような発音を苦にしない人が多くなったようです。外来語もstrategia「戦略、ストラテジー」のように子音が3つ続けたまま借用するような例も増えてきました。

私は田舎に知人が多いので、田舎の年配の方々がtraktori「トラクター」をraktori「ラクトリ」のように発音しているのをよく聞きました。

hienoは英語のfineにあたる形容詞で「素晴らしい」の意味でよく使いますが、英語のfine同様「きめの細かい」という意味もあり、hieno/sokeriなら「粉/砂糖」の意味です(参考:「角砂糖」はpala/sokeri、palaは「小片、かけら、塊」の意味)。

kortti Lissulta Lissuからのカード(解読版)

Anna Hornborgさん(旧留学生)撮影

1月18日に差し上げた「お年玉」の答えをお渡しするのが遅れました。一文ずつフィンランド語と和訳を載せることにします。

Oulussa vuoden 2020 viimeisenä päivänä
2020年の最後の日にオウルで
Hei Aki!
こんにちはAkiさん!
Kiitos kortista ja sähköpostista!
カードと電子メールありがとう。
Kiva kuulla sinusta ja oli hieno kinkku!
あなたについて(音信を)聞くのは素敵なことで、[上記メールに添付の画像について]すばらしいハムでしたね。
Yritin ennen joulua etsiä sinun osoitetta, mutta olin hukannut sen.
クリスマス前にあなたの住所を探したのですが、私はそれを失くしてしまっていました。
Onneksi kirjoitit!
幸運にも(カードに)あなたは(住所を)書いてくれていました。
kuuluu hyvää, kiitos.
(私は)元気です、ありがとう。
Sinulla on varmasti raskasta opettaa koko ajan netissä.
(あなたのところでは)ネットでずっと指導するのはきっと大変ですね。
Minä olen vain tehnyt tutkimusta ja onneksi olen voinut työskennellä myös yliopiston tiloissa.
私は研究を行うだけで、幸運にも大学のスペースでも働けています。
Minun piti mennä Hollantiin tekemään tutkimusta, mutta se ei onnistunut.
私はオランダに調査に行かなければならなかったのですが、それはうまくいきませんでした[=実現せず]。
Joulu meni hyvin : söin paljon jouluruokaa ja suklaata ja lepäsin!
クリスマスはうまく過ぎました:私はたくさんクリスマス料理とチョコレートを食べ、休息しました。
OIKEIN HYVÄÄ VUOTTA 2021!
本当に良い2021年を!
T:Lissu
草々[T.=terveisin]:Lissu[Liisa-Mariaの愛称]
UUSI OSOITE: MARSSISAUVANTIE 1A4, 90670 OULU
新住所:[省略]

本当に偶然なのですが、このLissuのカードの絵(1月18日ブログ参照)と、写真のAnnaの写真(AnnaはTurku在住ですが、この写真はOuluで撮ったそうです)、すごく似ていると思いませんか?フィンランド人が持つ、冬のもみの木、針葉樹林の一つのイメージでしょうか。

varis / korppi カラス

鳥類ガイドの一ページ

昨日はゴミ収集日だったせいか、朝からカラスたちがカーカー、ガーガーと騒がしかったです。我が家からは彼らの口に合うようなおいしい生ゴミは出てなかったと思いますが・・・

日本のハシブトガラス・ハシボソガラスはフィンランド語ではkorppiと説明します。一方フィンランドで最もポピュラーなカラスはvarisと言い、黒と灰の2色です。Suomen kielen sanakirja maahanmuuttajille「移民のためのフィンランド語辞典」では、Varis on iso harmaa ja musta lintu, jolla on kova ääni.「カラスは大きな/騒がしい声を持つ、大きな灰色と黒の鳥。」と説明されています。フィンランドにもkorppiはいるのですが、山奥に住んでいる鳥というイメージをフィンランド人は持っています。

varisは最近木曜初級コースでまとめを行った-s終わりの名詞、一方korppiもpp:pのkpt変化がありますから、初級以上のレベルの方用に代表的な格変化を確認しておきましょう(テキストss1の後半レベル)。

varis: 「二羽のカラス」はkaksi varista(単数分格)、「たくさんのカラス」はmonta varistaかpaljon variksia(複数分格)、「カラスの」はvariksen(単数属格)かvariksien(複数属格)
korppi:「二羽のカラス」はkaksi korppia(単数分格)、「たくさんのカラス」はmonta korppiaかpaljon korppeja(複数分格)、「カラスの」はkorpin(単数属格)かkorppien(複数属格)

korppiと似た単語にkorpiがあります。「主にトウヒ類が生えている沼地、薄暗い森」の意味で、妖精が出てきそうな森のイメージ、といったところでしょうか。こちらはp:vのkpt変化があるので、単数分格はkorpea、複数分格はkorpia、単数属格はkorven、複数属格はkorpienとなります。最後の-iの変化の仕方がkorppiとkorpiで違っていることも注意です。

 

Hyvää alkanutta vuotta! 明けましておめでとうございます(ちょっと遅すぎたかな)!

1月も中旬を過ぎ、私が担当の各コースはすでに授業が始まっていますが、改めて明けましておめでとうございます。クリスマスカードにはOnnellista uutta vuotta!「幸せな新年を!」と書かれていることが多いですが、年が明けてからはHyvää alkanutta vuotta!あるいはHyvää uutta vuotta!と通常言います。

今年はコロナ禍の影響を受ける2年目となりますが、これまでにない試みを2つ考えています(①は既に実施済み)。
①埼玉フィンランド協会とのコラボで、同協会の新旧会員の方には、北海道フィンランド協会の会員料金で4月からの初心者対象入門コース(Zoomによる遠隔授業)を受講できるようにする
②入門・初級レベルのフィンランド語を教えることができるような人材の育成、そのための養成コースの実施

②の実施要項はまだ具体化していませんが、5-6名の少人数コースで、各自が先生役・生徒役を務めながら、発音・基本文法の復習、指導スキルの向上を目指し、たとえばオンラインの個人授業でテキストsuomea suomeksi 1やHuomenta Suomiレベルのフィンランド語を指導できるレベルを目指します。この「養成コース」実施の際は、私が持つノウハウは惜しみなく伝授するつもりです。

遅まきながら皆さんへお年玉です。添付の画像はオウル大学でフィンランド語研究の博士号を取得され、北海道にもフィールドワークで来られ、また私のフィンランド語の授業へも何度か来訪したことがある、Liisa-Maria Lehtoさんからのカードです。彼女はフィンランド語が専攻ながら、私は「三大悪筆」の知人の一人に数えています。彼女が何と書いているか、パズル感覚で解読してみて下さい。解答は28日頃にこの「ブログ欄」でお知らせしますね。完璧な正答に至るのはかなり難しいですよ。

今年も気まぐれな投稿となりそうですが、数少ない読者の皆様、どうぞよろしくお付き合い願います。
語学講座担当専務理事 水本秀明

joulukinkku クリスマスのハム

到着時の様子

フィンランドのクリスマス料理の代表格はjoulukinkku、クリスマスのハムです。今年は鎌倉の「ライ麦ハウスベーカリー」のAkiさんの作ったハムをSilja, Jussiと共同購入してみました。

もとの肉は8-9kgあったようですが、ハムになると5.5kgくらいの、しかし相当な大きさの塊で、別途注文したライ麦パン類と2箱でクリスマスイブ(jouluaatto)に送られてきました。

到着が予定より1日遅れたので、クリスマスイブはこのハムを切り分けたり、SiljaとJussiの元に届けたりと大忙しでした。フィンランドのマスタード(sinappi)をつけて食べると大変美味で、フィンランドで過ごしたクリスマスのことが思い出されました。何しろ量がたくさんありますから、お正月までかけてゆっくり食べようと思います。

切り分けたらハムとわかりますよね

豚の太腿やそこから作った食べ物を意味するkinkkuは、いつも語源ではお世話になっているKaisa Häkkinen著『現代フィンランド語語源辞典』によれば、スウェーデン語skinkaからの借用で、書き言葉として初めて登場したのは1637年に刊行されたある辞書中だそうです。

yliopettaja Seija ja Juha 大(おお)先生セイヤとユハ

コロナ禍の中ではありますが、昨日は二人のフィンランド人と顔を合わせました。まずは私の先生、私にとっては大先生(だいせんせい、suuri opettaja)でもありますが、生徒さんから見れば先生の先生、大先生(おおせんせい、yliopettaja)のセイヤさん。共通の古い友人や最古参の語学サークル生20名ほどに一緒にクリスマスカードを書く習慣が15年くらいは続いているでしょうか。セイヤさん自身は大変元気でしたが、ドイツにいる甥御さんのパートナーが無症状とはいえコロナに感染してしまったようで、大変心配していました。

もう一人は昨冬まで札幌に住んでいて、北海道大学とフィンランド諸大学との交流、札幌市と出身のロヴァニエミ市の交流に尽力されたユハ・トゥイスクさんです。現在は横浜に在住。現職のフィンランド企業に関係する出張と、毎年続けている札幌市山鼻地区にある「めばえ幼稚園」への慰問を兼ねて、2泊3日の忙しいスケジュールの中、昨日の「木曜初級コース」に顔を出してくれました(ユハと私と2名でフィンランド協会事務局から授業を発信)。

ユハは教え上手、褒め上手で、私の授業の進め方もよく熟知しているので、久しぶりに授業に来てくれたことを大変うれしく思いました。木曜初級コースは、夏以降男性ゲストがまったく来訪していなかったので、受講された皆さんもフィンランド訪問歴やフィンランド語学習歴についての彼とのやりとり、良い刺激になったのではないかと思います。

フィンランド協会正面の某有名ホテルの2泊の宿泊費が計4000円、ところが最終日のチェックアウトを5時間延ばしたら延長料金が5000円だったよ、とこぼすユハ君でした。

postimerkki 切手

切手収集(postimerkkien keräily)は、私が子どもの頃はとても人気のある趣味でしたが、最近は趣味としている人が少なくなってしまったのではないでしょうか。多くの切手がシールになってしまいましたし。

フィンランドへのクリスマスカードは、昔は12月13日(私の先生のSeijaさんの名前の日(nimipäivä))までに投函すれば、ほぼ間違いなくクリスマス前に着いたものでしたが、最近は日本以上にフィンランドの郵便事情が悪くなり、1月中旬くらいになって「クリスマスと新年のあいさつ届いたよ」とメールが来たりします。

今年は少しだけ余裕を持ってフィンランド宛てクリスマスカード25通くらいを10日に投函しました。25gまでの封書はフィンランドまで110円、ハガキは外国へは世界均一で70円です。困ったのは70円切手がないこと。通常ハガキ用の63円切手に7円分を足さなくてはいけないのですが、現在は7円切手がなく、2円切手(ウサギ)と5円切手(サル)の組み合わせ、つまりハガキに63円切手を貼ってしまうとあと切手2枚分のスペースを上下に確保しなければなりません。本文を書き、住所氏名を書き入れる際にはそこまで頭が回らず、最後になって切手を貼るスペースに悩まなければならないカードが数枚出てしまいました。

郵便局が閉まってしまうと、コンビニやホテルでは国内ハガキ用の63円切手と定形郵便物用の84円切手しか売っていないことが多く、84円切手を貼って外国宛てのポストカードを出している外国人を何度も見たことがあります。「インバウンド」、「国際交流」とかいう前に「センスの良い70円切手を出してくれ」と言いたくなります。たかだか14円の差額で何を騒いでいるんたという人も多いかもしれませんが。

昨年春、「日本・フィンランド外交関係樹立100周年」の切手が発行されたことをご存知ですか。フィンランド関係者としては嬉しい限りの記念切手発行で、素敵な切手なら何シートも購入してフィンランド宛ての郵便に使ってやろうと意気込んで郵便局へ行ったのですが、あまりにもひどいデザインで、2シート購入したのですが、なんだか恥ずかしくて1枚も使っていません。たまには私と意見が合わないこともあるセイヤ先生もこの件では全く同感で、二人でこの切手デザインのセンスのなさを嘆いたことでした。