*

フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

Home

väärä käännös 誤訳

mummu=isoäiti

最近は翻訳ソフトや翻訳アプリの精度向上が目覚ましく、私も苦手な英語の少し長い文章などで、内容をざっと把握するためにたまに使うことがあるのですが、フィンランド語の場合は、その多彩な格変化、比較的自由な語順等々の理由から、結構意味不明な、たまには珍訳と呼べるような訳が提示される場合も多いようです。

先日Zoomの個人授業を行っているMさんから、フィンランド人の知人の出産祝いにお祝いのメッセージをフィンランド語で送りたいので、翻訳アプリを使った文章をチェックしてもらえないかと依頼がありました。

フィンランド語で伝えたいメッセージ3文の最初は「ご出産おめでとうございます。」という、日本人相手ならごく普通の祝辞なのですが、この文の訳を翻訳アプリは、Onnittelut syntymästäsi.と表示しました。中級、テキストss2を使っている方なら、この文のどこが変か分かるかもしれません。

翻訳アプリの発想は以下の通りです。まず「お祝い」という名詞onnitteluの複数主格形(-t)、OKです。次に「生まれること」を表すsyntymäに「~について」の-stäを加えて、さらに「あなたの」を表す所有接尾辞(テキストss2の2課で履修)-siを加えました。

問題なのは、「出産」が「生むこと」ではなく「生まれること」で翻訳されている点で、この訳では、生まれた赤ちゃんに対して「あなたが生まれたことについておめでとう」という意味になってしまいます。

それでは「生まれること」ではなく「生むこと、生んだこと」という語を使えば、赤ちゃんのお母さんに対する祝辞になるではないか思う方もいるかもしれませんが、留学生のJussi曰く、「出産後のお母さんに対して、『出産』おめでとうという発想や習慣はフィンランド人にはない」とのこと。

では出産後のご両親にはどんな祝辞が自然かというと、たとえばOnnittelut perheenlisäyksestä.「家族(perhe)の(-n)、増えたこと(lisäys)について(-stä)、おめでとうございます。」などがお勧めのようです。