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フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

rakennustyömaa 建設工事現場

13/10/2022 Sapporo

10月18日の火曜初級コースで紹介。知っていると便利な複合語です。työは「仕事」、maaは「国、田舎」の意味で多くの方がご存知だと思いますが、つなげると「工事現場」の意味になります。rakennusは「建物、建築」を表す名詞、関連の動詞はrakentaa「建てる(タイプⅠ、nt:nnのkpt変化あり)」です。

「建設工事現場//から」は通常外部格(テキストsuomea suomeksiの15課で履修)、-lle, -lla, -ltaを使います。

tietyö「道路工事」も知っていると便利です。日本は年中道路工事していますから。

sudenkorento トンボ(蜻蛉)

札幌ではそろそろ雪虫が飛ぼうかという時期なので季節外れの話題になりそうな昆虫ですが、フィンランド語のトンボ(蜻蛉)は面白い発想の語、sudenはsusi「オオカミ」の単数属格、korento「トンボ、カゲロウ」の類を意味します。金曜上級サークルで読んでいる童話では、長く水中で暮らし、成虫は短命であるカゲロウにはpäivänkorento「一日(päivä)のカゲロウ」という語が使われていました。

日本ではトンボは、「とんぼのめがね」の童謡や、某シンガーソングライターの歌で「ああ しあわせのとんぼが ほら 舌を出して 笑ってらあ」とあるように愛嬌があり、幸せに結びつく動物というイメージを持っている人も多いようですが、ヨーロッパではあまり縁起の良くない動物として扱われることが多いようで、それはフィンランド語では「オオカミの」という語頭にも反映されています。

単数属格は-korennon複数主格は-korennotとnt:nnのkpt変化が関係あり、単数分格は-korentoa複数分格は-korentojaとなります。

maanjäristys 地震

10月4日の火曜初級コースで紹介しました。文字通りはmaa「地(面)」-n「の」järistys「揺れること」。しっかり口を動かして発音しないとjäristysの部分、噛んでしまうことが多いです。

単数属格はmaanjäristyksen複数主格はmaanjäristykset単数分格はmaanjäristys複数分格はmaanjäristyksです。格変化するともっと噛みやすくなるので注意。

同じ災害関連の語でも、「津波」はそのままtsunamiでフィンランド語の語彙に入っており、単数属格はtsunamin複数主格はtsunamit単数分格はtsunamia複数分格はtsunamejaと格変化します。

Kotimaisten kielten tutkimuskeskus「フィンランド国内使用言語研究センター」のKielitoimiston sanakirjaにはtsunamiの説明として、maanjäristyksen tms. aiheuttama, merenpohjan voimakkaasta liikkeestä johtuva sarjallinen hyökyaalto「地震などが引き起こす、海底の強力な動きからもたらされる連続的な大波」と記されています。

上級コースの9名が、中・上級用テキストを修了!

29日、木曜上級コースの9名が今年度の折り返しとなる20回目の授業で、中・上級者用テキストsuomea suomeksi 2「フィンランド語をフィンランドで 2」を修了しました。
終了された9名は以下の皆さんです(敬称略、ファーストネームのみ):
Kozue, Moeko, Yuki, Yuuko, Masae, Saeko, Sumiko, Yumiko, Sachie
Onneksi olkoon!おめでとうございます。


ほとんどの皆さんが学習開始後3年半かけての修了、最初の1年は対面授業でスタート、2年目以降はオンライン授業での受講となりました。29日はフィンランド協会でハイブリッド方式で授業を行い、対面参加の5名とZoomで参加の3名に修了証が授与され、授業後の茶話会では長年の苦労をたたえ合いました。授業と茶話会には北大留学生のPetraも参加してくれました。

今後もほとんどの皆さんが同コース(新聞記事や手紙などの実践的な読解と文法事項の復習)、あるいは他コースへ所属して勉強を続けます。また現在授業録画で勉強されている1名が近々録画視聴を終え、修了証を取得の予定です。

北海道フィンランド協会専務理事(フィンランド語講座担当) 水本 秀明

kuningatar 女王

イギリス、日本、二つの国葬(valtiolliset hautajaiset)が終わりました。

「女王」は残念ながらnainen「女性」+kuningas「王様」のコンビネーションではなく女性を表す接尾辞の-tArが入っている語です。 単数属格はkuningattaren複数主格はkunigattaret単数分格はkuningatarta複数分格はkuningattariaです。辞書形(単数主格)と単数分格以外はtt:tの逆kpt変化があります。

昔の文献などにはopettajatar(opettaja「先生」+接尾辞-tar =「女先生」)、sairaanhoitajatar(「看護師」+接尾辞-tar =「女性看護師」)といった語も見受けますが、この-tarという接尾辞は時代とともに廃れつつあり、この「女王」といった語で細々と生き続けています。

とはいえ死滅したわけではなく、すばらしい女性シンガーを「歌手」のlaulaja(男女ともに使うこと可)ではなくあえて「歌姫、ディーバ」の意味でlaulajatarと紹介したりする用法はたまに見かけます。

中級以上の方は、「女王」と合わせて、「王様」kuningasの格変化も研究してみると良いかと思います(こちらはnk:ngのkpt変化が関係する語です)。

tulivuori 火山

道東、川湯温泉近くの硫黄山(2022/8/25)

自分の持っていないものに憧れたり興味を抱く、人間ってそういう傾向がありますよね。自分の国にはない火山、ほとんど起こることのない地震、その他津波、台風などに興味を持つフィンランド人は多いので、それらをフィンランド語で何と言うか知っていると便利です。

まず第1弾としてtulivuori「火山」から。tuli「火」とvuori「山」の基本単語の組み合わせで、日本語と同じ発想の複合語、英語のvolcanoに比べてなんと分かりやすい発想なことか。

vuori「山」は格変化、特に単数分格の変化に注意する語で、単数属格はvuoren複数主格はvuoret、「たくさんの火山」と言いたい時は、monta vuorta(単数分格)かpaljon vuoria(複数分格)です。複数はほとんどの格が辞書形と同じvuori-からの変化となりますが「山々の」を表す複数属格はvuorien(第1属格)に負けず、vuorten(第2属格)もよく使われます。

valkosipuli ニンニク

昨秋植えて8月収穫のニンニク、乾燥中

夏休み前の火曜初級コースでは、kansallispuisto「国立公園」という語を引き合いに出して、「-nen終わりの語は、-nenの部分が-sとなって複合語を形成する」と説明しました。「国立の、国民の」を表す形容詞kansallinenは、kansallis-という形で、「公園」puistoと結びついて「国立公園」となる、というわけです。

しかし夏休み中に気がつきましたが、valkoinen「白(い)」、punainen「赤(い)」、sininen「青(い)」などの名詞と形容詞を兼ねる色彩を表す語は、valko-, puna-, sini-という形から複合語を形成します。

valkosipuli「ニンニク」はvalko-「白」+sipuli「玉ねぎ」です。夏休み明けの火曜初級コースでは、valko-で始まる複合語として他に、valkoviini「白ワイン」、Valko-Venäjä「ベラルーシ(=白ロシア)」などを語彙に入れておくことをお勧めしました。valkoinen viiniは通じますが、そのようには言いません。「赤ワイン」はもちろんpunaviiniですね。

kesäloma on päättynyt… 夏休み終了…

9月(syyskuu「秋(の)月)」になりました。クラスの授業は3週お休みにさせてもらいましたが、あっと言う間に夏休みが終わってしまいました。

ほとんど札幌にいて、合い間合い間に藤田さんと伊達市大滝区で畑仕事(peltotyö)、喜茂別町で藤田さん所有の「焚き火の森」で森の作業(metsätyö)をするような夏休みでしたが、先週末久しぶりに道東に小旅行に行ってきました。

karhu

高校時代の友人が摩周湖から車で15分位の弟子屈町内に単身赴任していて、住居の2Fに空き部屋があるとのことで数日居候させてもらいました。

久し振りの道東旅行でしたが、夜明け前の美しい摩周湖、知床でヒグマを結構至近距離から見ることができたり(幸運にも車の中からでした)と、良い気分転換になりました。

クラス授業、個人授業の皆さん、9月からまたよろしくお願いします。特に木曜上級コースの皆さんはテキストsuomea suomeksi 2修了間近です。切りの良い今月末の修了を目指して頑張りましょう!

homejuusto (白/青)カビチーズ

2022年7月27日北海道新聞朝刊記事

juusto「チーズ」は初級~中級レベルの多くの皆さんの語彙に入っていると思いますが、home「カビ」はまだ語彙に入っていない方も多いと思います。

homejuustoはValio社のAuraに代表されるsinihomejuusto(sini=sininen「青」)とcamembertに代表されるvalkohomejuusto(valko=valkoinen「白」)に大別されるようです。

homeは-e終わりですから、単数属格はhomeen単数分格はhomettaなのに注意です。

と、ここまでは夏休み前、8月2日の初級コースで紹介しましたが、一つ付け加えましょう。カマンベールcamenbertのような外来語の格変化です。フィンランド語は-rtのような子音の連続で語が終わることはないので、そのような際には母音のiをクッションにして格変化させることは中級以上の方なら知識として知っているでしょうから、単数属格はcamenbertin、それを元にして「カマンベール(チーズ)の中に」のように単数内格にしたい場合は、camenbertissaとなります。興味深いのは発音で、単数内格の場合「カメンベルティッサ」のようにフィンランド語得意のローマ字読みすることはせず、原語のフランス語に近い、あるいは日本語にも近い「カマンベーリッサ」のように発音する(少なくとも最後の-tは発音しない)のが一般的なようです。加えて、この-bertの母音はäに近い母音ということもあり、camenbetissä-ssäの語尾を使う形も許されているのが面白いです。

上記のような煩わしさを避けたいのなら、語は長くなりますが、「カマンベール(の)チーズ」、camenbertjuustoあるいはcamenbertinjuustoを使って、「チーズ」juustoの部分を格変化させれば簡単でしょう(単数属格-juuston単数分格-juustoa)。

hyönteinen (昆)虫

先日伊達市大滝区へ畑仕事に行き、朝から晩まで草取りに励んだのですが、油断して半袖で作業していたら、しこたま虫に食われました。

昆虫そのものもhyönteinenと言いますが、昆虫類は-nen終わりのものが多いです。mehiläinen「ミツバチ」、kovakuoriainen「(カブトムシなどの)甲虫類」、perhonen「蝶」、muurahainen「蟻」など、枚挙にいとまがありません。「ムカデ(百足)」に代表される多足類はフィンランド語では大げさなことにtuhatjalkainen、1000(tuhat)の足(jalka)を持つもの、になります。

では写真の「蛾」はフィンランド語で何でしょう?
答えは、yöperhonen、「夜」+「蝶」という発想です。

-nen終わりの語は、数字の10、すなわちkymmenen(単数属格kymmenen、単数分格kymmen複数分格kymmen)を除くと(他の例があればぜひご教示ください)、単数属格は-nen→-sen、単数分格は-nen→-sta/s複数分格は-nen→-sia/sに入れ替えると作ることができるのを再確認しておくと良いと思います。したがって「3匹のミツバチ」はkolme mehiläis、「たくさんの蟻たち」はpaljon muurahaisia(monta muurahaistaもOK)となります。