Muihin ihmisiin pitää pitää välimatkaa.「他人とは間隔を保たなければなりません。」 | フィンランド語講座
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Muihin ihmisiin pitää pitää välimatkaa.「他人とは間隔を保たなければなりません。」

4月(huhtikuu)、そして新年度に入りました。とはいえ私が非常勤を務める北大も、全国各地から学生が集まっているという理由で、全学教育(昔の教養課程)の授業開始がGW明けにさらに延長されました。コロナウイルス感染が短期間で終息に向かう見通しも低い現在、治療薬やワクチンの開発・研究が進み、人々の不安が少しでも収まることを願っています。

先週から受講者に課題を出している効果か、数名の方から質問を頂いています。今日の質問は金曜上級コース(昨年度の中級コース)のTさんからの質問、タイトルにある「Muihin ihmisiin pitää pitää välimatkaa.がフィンランド語のニュースに出てきたのですが、pitääが連続して出てきてどんな風に訳するのかわかりませんでした。」です。

良い質問です。pitääは「~が好きです」という用法をクラスでは最初に学ぶ(たとえばss1の12課)ことが多いですが、ここでは「~が」に相当する-stA(出格)がないので、その用法ではないとわかります。結論から言うと前のpitääはtäytyä「~しなければならい」と同意、後のpitääは「保つ」の意味で、全体として「他人(muu ihminen)とは間隔(välimatka)を保たなければなりません。」という意味です。

もう少し文法的な意味合いを研究してみましょう(ご自分のレベルに合わせて理解を深めてください)。この文は構文としては「主語のない文」(初出:ss1の9課、その後13課のHuomatkaaなど)で、その際動詞は3人称単数形にするのですが、pitääは辞書形と3人称単数形が同形なので、ご質問のあった文の最初のpitääは3人称単数形です。

Täytyäはss1では17課が初出ではないかと思いますが、その際は「[人の属格]+täytyy+(動詞の辞書形)」で「[人]は( )しなければならない」と教わります。ただ実際の会話場面ではMinun täytyy mennä kotiin.「私は家に帰らなければならない」が不自然に感じるように、Täytyy mennä kotiin.「家に帰らなければならない」のように意味上の主語を省略することが多々あります。わざわざ「誰が」~する必要かあるか言及するまでもない、あるいは「一般的に人々は~しなければならない」という場合です。

Pitää(=Täytyy) pitää välimatkaa muihin ihmisiin.と表現することも可能で、文法的にも間違いではないのですが、フィンランド語は主語のない文においては、いきなり動詞(ここでは「~しなければならない」のpitää)で始まるのは落ち着かない語順と考えられることが多いので(参考:ss2の18課s107のHuomatkaa)、muihin ihmisiin「他の人々へ(muu ihminenの複数入格、ss1の25課で履修)」という修飾語を、本来主語がある文頭へ持ってきて文に落ち着きを持たせています。

Karoliina Korhonen著 suomalaisten painajaisia「フィンランド人の悪夢」より

ご質問の例は同じ動詞が連続(ただし片方は3人称単数形、片方は辞書形)した珍しい例ですが、たとえばss1の21課で過去完了形を学ぶと、Jussi ei ollut ollut Tampereella.「Jussiは(過去のある時点より前に)タンペレにはいませんでした/行ったことはありませんでした。」のようにbe動詞の(能動)過去分詞が連続する場合があります。英語ならJussi hadn’t been in Tampere.です。

今朝起き掛けに、品詞が違う例を思いつきました。
 Tuo tuo tuoli.「あのイスを持ってきて。」
最初のTuoは動詞tuoda「持ってくる」の命令法(ss1の14課で履修)、二つ目のtuoは指示代名詞「あの」です。

添付の画像は、コロナ禍には関係なく、フィンランド人のパーソナルスペースに関する基本的な考えを実に上手に表現したもので、「土砂降りで、でも(雨風をしのぐ)屋根が(誰かに)占拠されている【時は悪夢だ】」です。この本は実に面白く、また、フィンランド人の国民性に鋭く迫った本なのでいつか紹介したいと思っています。おそらく日本語版も出ていると思います。