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フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

bensiini / bensa ガソリン

ガソリン(bensiini、通常はbensaがよく使われる)の値段(hinta)が高止まりしていて全く閉口してしまいます。もっと自分の足や自転車を使わなければと思いつつ、数百メートル先のコンビニへ車で出かけてしまいます。現在札幌では160円前後のリッター価格でしょうか。

フィンランドはどうやら現在日本の倍以上の値段のようです。レギュラーガソリンのリッター価格は概ね2.55€位、これを今日の為替レート(1ユーロ=140.82円)にかけ合わせると、359.091円です。

写真は2004年に撮影した、日本ではちょっと見かけない素敵な給油所、場所は正確には思い出せないのですが、オウルへ北上中のオストロボスニア地方のどこかで撮影したと記憶しています。この時のレギュラーガソリンの値段が別の写真に写っていましたが、1.179€でした。ガソリンスタンドbensiiniasemabensa-asema(後者がポピュラー)、「~へ」、「~に」、「~から」はそれぞれ-lle, -lla, -ltaの格変化になります。

フィンランドのスタンドはカフェや売店を併設していることが多いですが、そのような給油所はhuoltoasema(huoltoは「維持、メンテナンス」の意味)もよく使います。

ディーゼル(ガソリン)dieselと綴り、発音は[diisel]のようになります。

kaukokartoitus リモートセンシング

フィンランド大使館が中心となって行われた北海道フィンランドウイーク、終了しました。北海道フィンランド協会も多くのボランティアスタッフを提供することによって、少しはイベントの成功に貢献できたのではないかと思います。私自身も、5月28日・29日の週末にはモルック(mölkky)PRのお手伝い、先週の平日は授業をほとんど休講にして、イベント受付の手伝いや、実際にイベントへの参加など、てんてこ舞いでした。

水曜日の「林業デイ」を聴講していた時、リモートセンシングによる森林調査に関する発表がありました。リモートセンシングはフィンランド語で何だっけ、どこかで聞いた覚えがあるけど思い出せない、こういう場合はいち早く調べるか、ネイティブスピーカーに尋ねるのがお勧めです。当該イベントにはカレリア(Karjala)地方から、北カルヤラ県の知事他、かなり多くのフィンランド人参加者があったので、イベント後の交流会時に同じテーブルに座ったフィンランド人に尋ねました。kaukokartoitus、そうでした!kauko-は「遠(距離)、遠隔」などを意味し、kartoitusは「地図作成、製図」です。後者の要素は、名詞のkartta「地図」(単数属格kartan単数分格karttaa複数分格karttoja)、そこから派生した動詞のkartoittaa「地図を作成する、地図に描く」(タイプⅠ、tt:tのkpt変化あり)、それがさらに名詞化したものです。このように気になった時にすぐに確認した単語は、だいたい忘れないものです。ただし、20年前なら自信をもってそう言い切れましたが、今はちょっと自信ありません・・・

kuulostaa heprealta チンプンカンプン

水曜日の授業で忘れていた表現を思い出しました、kuulostaa heprealtaです。kuulostaa -ltAは中級以上の学習者は覚えておきたいコンビネーションで「~のように聞こえる」です。一方hepreaはイスラエルの公用語でもある「ヘブライ語」です。

「ヘブライ語のように聞こえる」とは全く理解不能な事柄について使うので、日本語なら「チンプンカンプン」といったところでしょうか。よく使っているネットのKielitoimiston sanakirjaにはSe oli minulle täyttä hepreaa.「それは私にとって完全な(täysi)ヘブライ語だった。」→「それは私にとって完全に理解不能/チンプンカンプンだった。」という例文が載っています。この場合は形容詞täysiとそれが修飾する名詞hepreaは単数分格形になっています。

「ヘブライ語のように聞こえる/完全なヘブライ語だ」が「理解不能」という意味で、他の言語でも使うことがあるのか、どなたかご存知だったら教えてください。

Turkki トルコ

フィンランドに続いてスウェーデンもNato加盟申請を正式決定、とのニュースが入ってきました。同時に、この両国の加盟にトルコが難色を示している、という報道もありました。両国の正式加盟の遅滞につながらなければよいのですが・・・

トルコはフィンランド語でTurkki(kk:kのkpt変化があるので「~の」(単数属格)はTurkin、「~に」(単数内格)はTurkissa)、これを小文字で表記したturkki(発音はもちろんTurkkiと同じですし、文頭に来れば大文字で書くことになりますが)は3つの意味があり:
1 トルコ語
2 毛皮
3 船(舶)[alus]の(船)底[lattia「床」]
3の意味(aluksen lattia)は知りませんでした。知っているつもりの語もこまめに辞書を引くことが大切ですね。こちらは使いそうな文法格としては、単数分格がturkkia複数分格はturkkejaです。

似た発音の語にtulkkiがあります。こちらは「通訳」。単数属格はtulkin単数分格はtulkkia複数分格はtulkkejaです。turkkiとtulkkiはrとlで意味が変わる語の例として、私はたまに取り上げます。「翻訳する」はkääntää(タイプⅠ、nt:nnのkpt変化あり)は語彙に入っている中上級者は多いと思いますが、「通訳する」はtulkata(タイプⅣ、kk:kのkpt変化あり)なので、こちらがまだ語彙に入っていなかった方は入れておいてください。

Mordva/mordva? Moldova/moldova? モルドヴィア、モルドビン(語)? モルドバ(語)?

ロシアのウクライナ侵攻に伴い、ウクライナとルーマニアに挟まれた小国、モルドバ(この表記が一般的だが「モルドヴァ」の表記もあり、旧称は「モルダビア」、フィンランド語ではMoldovaなら国、moldovaなら言語)にも注目が集まっています。

この「モルドバ」の響きを聞くたびに何か懐かしい思いがしていたのですが、ある日「フィンランド語と同じウラル語族に属す『モルドヴァ語』の国ではないか!」と気づき、ちょっとこの国のことを調べてみたのですが、公用語はルーマニア語とあり、モルドヴァ語に関する記述もなく、袋小路に入りこんでしまいました。

1,2日考えて、私が関心のある言語のモルドヴァ語(モルドビン語)のラ行音はlではなくrであることに気付き、調べ直したら、ありました、Mordva(言語ならmordva)が。Mordvaはモルドヴィア共和国、沿ボルガ連邦管区に属するロシア連邦の構成共和国です。私と同じ勘違いをする人がたまにいると見えて日本語版ウィキペディアの「モルドヴィア共和国」の項目では、「ルーマニアとウクライナの間にあるモルドバ(Молдова / Moldova、モルドバ共和国、旧称モルダビア)と混同しやすく、注意が必要である」と但し書きがありました。モルドヴィン諸語(モルドビン諸語、mordvalaiset kielet)はエルジャ(ersä)語とモクシャ(mokša)語に分類され、どちらもロシア内のモルドヴィア共和国で話されています。

言語の面で整理すると、ウクライナとルーマニアに挟まれた独立国家の言語は、インド・ヨーロッパ語族ーイタリック語派ー東ロマンス語-ルーマニア語(モルドバ語)、ロシア連邦を構成する国の方は、ウラル語族ーフィン・ウゴル語派ーボルガ・フィン諸語ーモルドビン諸語(エルジャ語とモクシャ語)ということになります。フィンランド語は、ウラル語族ーフィン・ウゴル語派-バルト・フィン諸語ーフィンランド語という系統になります。

少し古い資料ですが、小泉保先生の『ウラル語のはなし』(大学書林、1991)によれば、モルドビン諸語の話者数は、ハンガリー語、フィンランド語に次いでウラル語族では第3位を占める約120万人を数えています。これはエストニア語の話者よりも多い数字です。このような興味深い言語が話されている地域、ロシア国内ということもあり現状では訪れるのが難しいのが残念です。

 

Nato ja nattō 北大西洋条約機構と納豆

フィンランドとスウェーデンがNATO(北大西洋条約機構、英:North Atlantic Treaty Organization)加盟に意欲を示しているとの報道がニュースや新聞紙面を賑わせている最近です。

Natoはフィンランド語での正式名称は2語、Pohjois-Atlantin puolustusliittoで表されます。Pohjoisはpohjoinen(「北、北の」)のこと、AtlantinはAtlantti(「大西洋」)の属格(「大西洋」、tt:tのkpt変化あり)、一方後ろの語はpuolustus(「防衛、防御、守備」)とliitto(「同盟、連合」)の複合語、フィンランド語では機構名に「防衛、防御」という言葉がしっかり入っています。

フィンランド人も通常はNatoを使いますが、これは頭文字を取った固有名詞なので、t:dのkpt変化は起こさず、「Nato」(属格)はNatonのようにそのまま元の形を保持したまま格変化します。

写真はラップランド、イナリ郡のNellimという小さな集落近くのフィンランド・ロシア国境地域(rajavyöhyke)  で撮影したもの。大きな看板には「国境地域 許可なく立ち入り禁止」の文字が上から、フィンランド語、スコルトサーミ語、スウェーデン語、ノルウェー語、英語、ロシア語で書かれています。また、多くの樹木には「国境地域」の黄色いテープも巻き付けられています。

こちらの方が平和、かつ健康的で好きです

話題変わって、フィンランド人の多くが苦にしない(むしろヴィーガンの留学生などは毎日のように食べている人もいるよう)「納豆」は、表記と発音が基本的に一致するという原則から見ると、nattooが一番自然のように思われますが、nattōのように表記していることが多いようです。ō自体はフィンランド語のアルファベットにはない文字なので、nattoと表記している場合もあります。「発酵させた大豆から作られた伝統的な日本の食品(hapatetuista soijapavuista valmistettu perinteinen japanilainen ruoka)」などと説明的に言わなくとも、日本にいるフィンランド人、日本に興味を持っているフィンランド人はそのままnattōを使って大丈夫です。

それでは「納豆」の言いたいときは、tt:tの最も代表的なkpt変化は起こるでしょうか?結論からいうとkpt変化は起こさずにnattōn、あるいはnattonが普通のようです。kk:k、pp:p、tt:tの最も代表的な3種のkpt変化は外来語でも発生することがあるのですが、もし「納豆の」をkpt変化を起こして発音すると「Natoの」とほぼ同じ発音になってしまうからかもしれません。

新年度の語学講座始まりました!

4月7日から今年度の語学講座がスタートしています。

簡単に紹介しますと:
月曜入門コース(初心者対象、担当:水本)
火曜初級コース(おおむね学習歴1年の方対象、担当:水本)
水曜上級サークル(一通りのフィンランド語文法を身につけられた方対象、担当:水本)
木曜上級コース(おおむね学習歴3年の方対象、担当:水本)
金曜上級サークル(水曜に同じ、担当:水本)
土曜中級サークル(おおむね学習歴2年の方対象、担当:片瀬)

授業時間はすべて19時半~21時です。月曜から土曜まで毎日フィンランド語を勉強する機会が提供されています。「サークル」は担当講師が主宰し、当協会会員を対象とするコースとなっています。

11日に初めてハイブリッド授業を行いました。フィンランド協会事務局で最大6名程度の定員を設けた対面授業を行い、同時にZoomで配信するという方式です。写真は記念すべき初のハイブリッド授業前のクラスの様子です。授業中視線をどこへ向けたらよいのか(対面の授業者へ?それともパソコンのカメラ?おそらくその使い分けが必要かな)、通信環境によっては私の発話の出だしが聞き取りにくい、私の方もZoom参加者からの個別の質問が聞き取りにくいことがあった、等々小さな問題はありましたが、受講生とも協力して少しずつ改善したいと思っています。発音チェックなどは対面授業参加の方の発音を聞きながら、スピーカーマイクから少し遅れて聞こえてくる発音の両方にも耳を傾けなければならないので、正直初回授業は通常の2倍疲れた印象です。

ハイブリッド授業は現在月曜入門コースのみの実施ですが、今後は「コロナ後」を見据えて他のコースでも試行してみようと考えています。

受講生の皆さん、今年度もよろしくお願いします。また、入門コースは引き続き新規の受講生を受け付けていますので、奮ってご参加、お問い合わせ下さい。途中受講でもYouTubeの授業録画を使って追いつくことはそう難しくありませんので。

 語学講座担当 水本 秀明

 

2022年度フィンランド語講座入門コース詳細はこちら→2022年度フィンランド語講座入門コース受講生募集中

Kiova キエフ→キーウ

ウクライナの首都の表記を日本ではロシア語の発音を基にした「キエフ」からウクライナ語により近い「キーウ」に変更したことに対し、ゼレンスキー大統領からの謝意があったとニュースで報じられていました。

日本語は外来語を取り入れる際に、「どう聞こえたか」、それをできるだけ近いカタカナで表記しようとするので、和製英語に代表される「和製外来語」は外国人の日本語学習者泣かせの代物だと聞きました。

フィンランド語へも続々と英語やスウェーデン語から外来語が流入してきますが、借用の仕方は日本語とは全く違い、「フィンランド語の音のシステムにできるだけ合致するように」借用します。この「システム」は少しフィンランド語を学習すればわかってきますが、たとえば「語頭、語末に子音が二つ続かない(特に語末)」といったルールです。

今戦争状態にある2国、及び旧ソ連に属していたバルト三国の国名と首都名の代表的な日本語表記、フィンランド語を比べてみましょう。
-ウクライナ(Ukraina、「~で、に」-ssa)、首都キーウ(キエフ)(Kiova、「~で、に」-ssa)
-ロシア(Venäjä、同上-llä)、首都モスクワ(Moskova、同上-ssa)
-エストニア(Viro[年配のフィンランド人はEestiも使う]、同上Virossa/Eestissä)、首都タリン(Tallinna、同上-ssa)
-ラトビア(Latvia、同上-ssa)、首都リガ(Riika、同上Riiassa)
-リトアニア(Liettua、同上-ssa)、首都ビルニュス(Vilna、同上-ssa)

国名が「~で、に」に格変化する際は英語のin~に相当する内格(-ssa/-ssä)に変化するのが普通ですが、主要な国ではロシアだけは英語のon~に相当する所格[接格、面格ともいう](-lla/-llä)に変化すること、ラトビアの首都リガ(Riika)はk:Φ[消える]の最も難しいkpt変化を起こすので、「リガに」という時にはRiiassaとなるあたりが注意です。エストニアの首都タリン(Tallinna)のTalは「デンマーク(人)の」を表し、linnaはエストニア語では「町、街」(フィランド語ではlinnaは「城」!)というのは知っていても良い豆知識です。

Riikaのアールヌーボー建築(建築好きにはたまらない街だとか)

同じくRiikaの裏路地(2004年)

maastohiihto クロスカントリースキー

先週伊達市大滝区で15年ぶりくらいにクロカンスキーを楽しみました。昔は毎年セイヤ先生を連れて、2月のおおたき国際スキーマラソン大会の歩くスキーの部に参加したものですが・・・

今年は大滝も2月以降大雪の日が多かったせいか、コースにはまだ1mくらい雪があり、藤田さんと一緒に3.5kmですが、おしゃべりしたり、写真を撮ったり、クロカンスキーのテクニックを教えてもらったりして、楽しい小一時間を過ごしました。私はスケーティング走法ができないので、コースに切った溝に沿って進むクラシカル走法で何とか出発点まで帰ってきました。

クロスカントリースキーはmaastohiihto(たまにmurtomaahiihto、通常は単にhiihto)、クロスカントリースキーをするという動詞はhiihtää(学習者用に:タイプⅠ、ht:hd[t:d]のkpt変化あり)です。スロープを降るゲレンデスキーはlaskettelu、動詞はlasketella(タイプⅢ、tt:tのkpt変化あり)です。

楽しかったですが、kaaduin kaksi kertaa.2回転びました。ご愛敬です。

雪を纏った「プチ・ナイヤガラの滝」

papu (インゲン)豆

春休みを利用して、友人でフィンランド協会の理事でもある伊達市大滝区の藤田さんのところへ手伝いに来ました。今日は貝豆(インゲンマメの一種)の選別、袋詰めの手伝いをしました。貝豆は一つ一つ微妙に形や模様が違うので、それを眺めながら選別しているうちに、退屈せずにあっという間に3時間ほどが経ちました。

GW明けに植える予定のジャガイモ(peruna)の種芋の選別と、畑の雪室に埋まっている白菜(kiinankaali(kiinan「中国の」+kaali「キャベツ」))の掘り出しは明日。

インゲンマメはpapu、p:vのkpt変化があるので、「インゲンマメ」(単数属格)はpavun単数分格はpapua複数分格はpapujaです。ちなみに大豆はsoijapapu(soijaは英語だとsoy)です。