Muumi-näyttely ムーミン展
札幌芸術の森で開催されていた「ムーミン展」が11月3日に終了しました。コロナ禍の中とはいえ、かなりのお客さんを集めて成功裏に終了したようで何よりです。
私も先週の金曜日に鑑賞しに行ってきました。トーベ・ヤンソンの原画は、タンペレ市の新旧のムーミン谷博物館で見たことはあったのですが、特にその量に圧倒されました。
フィンランド語を教えている身としては、ごくまれに現れるフィンランド語を探すのに精を出しました。ご存知の方も多いようにトーベ・ヤンソンはスウェーデン語が母語なので、ムーミン物語はもちろん、イラストや挿絵に書き込まれている文章や指示などもほぼスウェーデン語で書かれています。
日本では「楽しいムーミン一家」と訳されているのはTaikurin hattu「魔法使いの帽子」、スウェーデン語の原題もTrollkarlens hatt(フィンランド語同じ)と「ずいぶん違うな」と感じたり(ちなみに英語版のタイトルはFinn family Moomintroll)、小児病院の案内ポスターの中にムーミンと共にかなり大きな文字でTervetuloa röntgeniin!「レントゲン(röntgen)へようこそ!」と書かれているものを見つけたりしました。
フィンランドのスウェーデン語系新聞に掲載されたフォーレニングス銀行の広告スケッチの中には、流暢な筆記体の濃紺の文字でMuumi saa lippaan ja kortteja.「ムーミンが(貯金)箱とカードをもらう」、 Muumi näkee lippaan pankin ikkunassa.「ムーミンが(貯金)箱を銀行の窓(のところ)で見る」、 Muumi menee kysymään mikä se on.「ムーミンが、それは何かと尋ねに行く」といったストーリーの内容がフィンランド語で書かれています。ヤンソンさんの書いた文字なのか、スウェーデン語や英語で彼女が書いた文字と比較し、素人の筆跡鑑定をしてみましたが、どうやら彼女の書いたフィンランド語のようです。
「ムーミン・オペラ」のパンフレットの原画の隅にも同様の筆記体で:
Olkaa hyvää
Lähettäkää takaisin
Tove Janssonille
どうぞ
返送してください
トーベ・ヤンソンへ
そしてその下にヘルシンキの住所が続いていますが、フィンランド語を学習している皆さんは赤字の部分に注目してみてください。
展示の最後、浮世絵がトーベ・ヤンソンの絵画に与えた影響のコーナーも大変興味深いものでした。