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フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

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osteri 牡蠣

前回に続いて食べ物の話です。行きつけの市内美園(みその)の居酒屋が今月いっぱいで店を閉めることになり、残念な思いをしています。「昭和」ムード満載で、持ち込みOK、いつもおいしいものを出してくれるだけでなく、食べ物の調理法や旬(sesonki)のことを教えてくれる素敵なママさんなのですが、寄る年波には勝てず仕入れがつらくなったこと、またこのコロナ禍で、40年近い歴史を持つ店をたたむ決心をしたようです。フィンランド人たちともよく行ったし、例外なくみんなが気に入ってくれる店だったので、本当に残念です。

「Rのつかない月(5月~8月)には牡蠣を食べるな」ということわざが欧米にはあるようで、昔英語の授業でも確かにそう習った記憶がありますが、先日その居酒屋で本当においしい根室産のカキ(「牡蠣」は自分で漢字で書けなくなってしまって、なんだか恥ずかしいので、以下カタカナで表記します)を食べました。

カキはフィンランド語でosteri、英語のoysterにかなり近い外来語です。英語のoysterも含め、ギリシャ語の「骨」を表す語からラテン語経由で多くのヨーロッパの言語に広まったようです。フィンランドでは1800年代後半までostronという形が使われ、Elias Lönrotの1880年の辞典には、ostroniと現在のosteriの両方の形が紹介されています。他にsaksansimpukka(「ドイツの二枚貝)、syömäsimpukka(「食べ(られ)る二枚貝」)の名称もあったそうです。(Kaisa Häkkinen著『現代フィンランド語語源辞典』による)

もうあんなにおいしいプリプリのカキは食べられないと思っていたら、閉店を知った根室の知人の漁師さんがもう一度月末にママさんのところへ送ってくれると約束してくれたそうで、ぜひもう一度食べに行こうと思っています。