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フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

Hyvää alkanutta vuotta! 明けましておめでとうございます(ちょっと遅すぎたかな)!

1月も中旬を過ぎ、私が担当の各コースはすでに授業が始まっていますが、改めて明けましておめでとうございます。クリスマスカードにはOnnellista uutta vuotta!「幸せな新年を!」と書かれていることが多いですが、年が明けてからはHyvää alkanutta vuotta!あるいはHyvää uutta vuotta!と通常言います。

今年はコロナ禍の影響を受ける2年目となりますが、これまでにない試みを2つ考えています(①は既に実施済み)。
①埼玉フィンランド協会とのコラボで、同協会の新旧会員の方には、北海道フィンランド協会の会員料金で4月からの初心者対象入門コース(Zoomによる遠隔授業)を受講できるようにする
②入門・初級レベルのフィンランド語を教えることができるような人材の育成、そのための養成コースの実施

②の実施要項はまだ具体化していませんが、5-6名の少人数コースで、各自が先生役・生徒役を務めながら、発音・基本文法の復習、指導スキルの向上を目指し、たとえばオンラインの個人授業でテキストsuomea suomeksi 1やHuomenta Suomiレベルのフィンランド語を指導できるレベルを目指します。この「養成コース」実施の際は、私が持つノウハウは惜しみなく伝授するつもりです。

遅まきながら皆さんへお年玉です。添付の画像はオウル大学でフィンランド語研究の博士号を取得され、北海道にもフィールドワークで来られ、また私のフィンランド語の授業へも何度か来訪したことがある、Liisa-Maria Lehtoさんからのカードです。彼女はフィンランド語が専攻ながら、私は「三大悪筆」の知人の一人に数えています。彼女が何と書いているか、パズル感覚で解読してみて下さい。解答は28日頃にこの「ブログ欄」でお知らせしますね。完璧な正答に至るのはかなり難しいですよ。

今年も気まぐれな投稿となりそうですが、数少ない読者の皆様、どうぞよろしくお付き合い願います。
語学講座担当専務理事 水本秀明

joulukinkku クリスマスのハム

到着時の様子

フィンランドのクリスマス料理の代表格はjoulukinkku、クリスマスのハムです。今年は鎌倉の「ライ麦ハウスベーカリー」のAkiさんの作ったハムをSilja, Jussiと共同購入してみました。

もとの肉は8-9kgあったようですが、ハムになると5.5kgくらいの、しかし相当な大きさの塊で、別途注文したライ麦パン類と2箱でクリスマスイブ(jouluaatto)に送られてきました。

到着が予定より1日遅れたので、クリスマスイブはこのハムを切り分けたり、SiljaとJussiの元に届けたりと大忙しでした。フィンランドのマスタード(sinappi)をつけて食べると大変美味で、フィンランドで過ごしたクリスマスのことが思い出されました。何しろ量がたくさんありますから、お正月までかけてゆっくり食べようと思います。

切り分けたらハムとわかりますよね

豚の太腿やそこから作った食べ物を意味するkinkkuは、いつも語源ではお世話になっているKaisa Häkkinen著『現代フィンランド語語源辞典』によれば、スウェーデン語skinkaからの借用で、書き言葉として初めて登場したのは1637年に刊行されたある辞書中だそうです。

yliopettaja Seija ja Juha 大(おお)先生セイヤとユハ

コロナ禍の中ではありますが、昨日は二人のフィンランド人と顔を合わせました。まずは私の先生、私にとっては大先生(だいせんせい、suuri opettaja)でもありますが、生徒さんから見れば先生の先生、大先生(おおせんせい、yliopettaja)のセイヤさん。共通の古い友人や最古参の語学サークル生20名ほどに一緒にクリスマスカードを書く習慣が15年くらいは続いているでしょうか。セイヤさん自身は大変元気でしたが、ドイツにいる甥御さんのパートナーが無症状とはいえコロナに感染してしまったようで、大変心配していました。

もう一人は昨冬まで札幌に住んでいて、北海道大学とフィンランド諸大学との交流、札幌市と出身のロヴァニエミ市の交流に尽力されたユハ・トゥイスクさんです。現在は横浜に在住。現職のフィンランド企業に関係する出張と、毎年続けている札幌市山鼻地区にある「めばえ幼稚園」への慰問を兼ねて、2泊3日の忙しいスケジュールの中、昨日の「木曜初級コース」に顔を出してくれました(ユハと私と2名でフィンランド協会事務局から授業を発信)。

ユハは教え上手、褒め上手で、私の授業の進め方もよく熟知しているので、久しぶりに授業に来てくれたことを大変うれしく思いました。木曜初級コースは、夏以降男性ゲストがまったく来訪していなかったので、受講された皆さんもフィンランド訪問歴やフィンランド語学習歴についての彼とのやりとり、良い刺激になったのではないかと思います。

フィンランド協会正面の某有名ホテルの2泊の宿泊費が計4000円、ところが最終日のチェックアウトを5時間延ばしたら延長料金が5000円だったよ、とこぼすユハ君でした。

postimerkki 切手

切手収集(postimerkkien keräily)は、私が子どもの頃はとても人気のある趣味でしたが、最近は趣味としている人が少なくなってしまったのではないでしょうか。多くの切手がシールになってしまいましたし。

フィンランドへのクリスマスカードは、昔は12月13日(私の先生のSeijaさんの名前の日(nimipäivä))までに投函すれば、ほぼ間違いなくクリスマス前に着いたものでしたが、最近は日本以上にフィンランドの郵便事情が悪くなり、1月中旬くらいになって「クリスマスと新年のあいさつ届いたよ」とメールが来たりします。

今年は少しだけ余裕を持ってフィンランド宛てクリスマスカード25通くらいを10日に投函しました。25gまでの封書はフィンランドまで110円、ハガキは外国へは世界均一で70円です。困ったのは70円切手がないこと。通常ハガキ用の63円切手に7円分を足さなくてはいけないのですが、現在は7円切手がなく、2円切手(ウサギ)と5円切手(サル)の組み合わせ、つまりハガキに63円切手を貼ってしまうとあと切手2枚分のスペースを上下に確保しなければなりません。本文を書き、住所氏名を書き入れる際にはそこまで頭が回らず、最後になって切手を貼るスペースに悩まなければならないカードが数枚出てしまいました。

郵便局が閉まってしまうと、コンビニやホテルでは国内ハガキ用の63円切手と定形郵便物用の84円切手しか売っていないことが多く、84円切手を貼って外国宛てのポストカードを出している外国人を何度も見たことがあります。「インバウンド」、「国際交流」とかいう前に「センスの良い70円切手を出してくれ」と言いたくなります。たかだか14円の差額で何を騒いでいるんたという人も多いかもしれませんが。

昨年春、「日本・フィンランド外交関係樹立100周年」の切手が発行されたことをご存知ですか。フィンランド関係者としては嬉しい限りの記念切手発行で、素敵な切手なら何シートも購入してフィンランド宛ての郵便に使ってやろうと意気込んで郵便局へ行ったのですが、あまりにもひどいデザインで、2シート購入したのですが、なんだか恥ずかしくて1枚も使っていません。たまには私と意見が合わないこともあるセイヤ先生もこの件では全く同感で、二人でこの切手デザインのセンスのなさを嘆いたことでした。

 

Sokerittomia, sitruunan- ja vadelmanmakuisia salmiakkilakritsipastilleja シュガーレス、レモンとラズベリー味のサルミアッキ・リコリスドロップ

ヘルシンキ、テロ・サロマ―さんと奥様の雅子さんのお店「ノルディス」のネットショップで買い物をしたら、テロさんは色々と興味深い製品をおまけしてくれました。

私が今はまっているのは、写真のFazar社のサルミアッキ。3年前にフィンランドに行ったときには見かけなかったので新しい商品だと思います。箱の上下部分のピンクが印象的。今日現在、おまけで送っていただいた2箱のうち1箱半が私のお腹の中に収納済み。

この商品の名称はタイトルの通り(長い!)。フィンランド語学習者には勉強になる語彙、文法が満載です。含まれている名詞・形容詞を抽出すると:
-sokeri(砂糖)→sokeriton(形容詞「砂糖なしの」)・・・-ton/tönは「~なしの(英語:-less)」のサイン←テキストss2のkpl19 で学習
-sitruuna(レモン)
-vadelma(ラズベリー[ヨーロッパキイチゴ])
-maku(味、風味)→~makuinen(形容詞「~味の、風味の」)・・・~部分は属格(-n)になります
-salmiakki(サルミアッキ)
-lakritsi(lakritsaという形もあり、リコリス、甘草)
-pastilli(ドロップ、トローチ)

そしてドロップ、トローチは、食べ物なので通常は単数分格形になるのですが、「一粒、二粒…」と数えられ、かつ、箱の中の粒数は「不定の複数」なので、sokeriton, ~makuinenという修飾語(形容詞)とも併せて、pastillejaという「複数分格」(ss1の26課で学習)に格変化しています。

些細なことですが、vadelma-sitruunaのように結ばれる要素AとBが対等な関係であれば、ハイフンの両側にはスペースを入れませんが、sitruunanmakuisia ja vadelmanmakuisia「レモン味とラズベリー味の」のようにA~とB~の共通部分(ここではmakuisia)の前半を省略する場合はsitruunan– ja vadelmanmakuisiaのようにハイフンの後ろに半角スペースが入ります。

道東・鹿追町図書館でフィンランド特集コーナー開催中!

写真提供:鹿追町企画財政課

本来であれば今日は鹿追町に出張の予定だったのですが、道内でのコロナ感染拡大のため、ミアとネッタが講師の男女共同参画セミナーが延期になってしまい、運転手の私も休業となりました。

ただ、このセミナーに付随する「フィンランド特集コーナー」は12月6日まで鹿追町図書館で開催されています。コロナのため道内を長距離移動するのが難しい状況ですので、十勝地方の皆さん、よろしかったらコロナ対策をしっかりしてご覧にお出かけください。

実は写真パネル以外の展示物はわたしの私物で、町の企画財政課から頂いた写真を見ると、とても上手に展示されているのでぜひ見たかったのですが、残念です。上記セミナーは1月ないしは2月に延期予定なので、もしかしたらそれに合わせて再度書籍や物品の展示を行っていただけるかもしれません。その際は再度PRしますね。

「特集コーナー」を報じる北海道新聞道東版

 

金曜上級コースの6名が中・上級用テキストsuomea suomeksi 2を修了されました!

対面授業が懐かしいです(協会事務局から発信)

11月20日(金)、今年度の第3期4回目の授業で、6名の方が中・上級用テキストsuomea suomeksi 2(「フィンランド語をフィンランド語で2」)を修了されました。Onneksi olkoon! おめでとうございます!

今回修了された方は以下の皆さんです(アイウエオ順)。大西千久里さん、加藤佐和子さん、高田由美さん、千葉浩之さん、林香織さん、平松史子さん。

私はこれまでクラス授業、個人授業の両方で上記テキストss2の卒業生を出していますが、入門・初級用テキストsuomea suomeksi 1の最初からスタートし、ss2の最後まで2冊のテキストをすべて修了した生徒さんは今回が初めてです。これまでは入門クラスでは違う教科書を使い、その教科書が終了してからテキストss1の途中(たとえば8課)に移行していました。フィンランド語主要文法を網羅するss1/ss2の2冊の教科書を約3年半で終了させることを実感できたのは、私にとっても大きな収穫でした。

金曜上級コースは今後、文法の復習を行いながらフィンランド語の文章(手紙や新聞記事など)の読解を進めて行く予定です。コロナの影響の一つとして、授業に来訪してくれるフィンランド人ゲストが激減し残念に思っていますが、彼らも学業や生活に余裕が出てきたらクラス(できれば対面授業のクラス)へ戻ってきてくれるのではと期待しています。

金曜上級コース皆さん、改めてテキスト修了おめでとうございます!

mäkihyppy スキージャンプ

ビデオ判定室(写真のTom(ドイツ人)はフィンランド人の彼女がいた/いるらしい)

昨日の北海道新聞夕刊には比較的小さく、今日の朝刊にはもう少し大きな記事で1面に載っていたので、道内ではご存知の方も多いと思いますが、札幌での来年1月のワールドカップ女子スキージャンプ、2月の同男子スキージャンプが中止になりました。ワールドカップより格下の大会になりますが、1月のコンチネンタルカップも中止のようです。

ちょうど20年前に副会長の井幡さんにご紹介していただいてから、大会のお手伝いを続けていたのですが本当に残念です。現在の道内でのコロナの感染状況を考えるとやむを得ない決定だとは思いますが。

最近の私の主な仕事は、運転手兼ジャンプ台で計測・データサービスを行っているドイツの会社(ワールドカップ)、オーストリアの会社(コンチネンタルカップ)のスタッフの手伝いをすること。私はドイツ語がまったくできないので(「おはよう」と「ありがとう」と「畜生!」だけは言えます(笑))、かなりブロークンな英語でコミュニケーションしています。今回の大会中止で、私が一年の中で英語を使うほぼ唯一の機会もなくなってしまいました。ジャンプ台や大会本部のホテルでフィンランド人選手・コーチ、役員と会ったときにはもちろんフィンランド語で話をします。

大会後フィンランド女子チーム揃い踏み(今年の1月13日)

現在スキージャンプの国際大会の(最近では国内大会も)飛距離判定はビデオで行っていますので、飛距離測定員は数m毎に着地地点に配置されていますが、ビデオ飛距離が優先されています。この飛距離点にアプローチの長さ(ゲートファクター)、そして重要な風の状況(ウインドファクター)、飛型審判員の得点などが加味されて総得点や順位が決まるので、外国から持ち込まれる機材の量も合計で数トン単位になります。

試合の最中には私は生でアスリートのジャンプを見ることができず、資格を持ったビデオ飛距離判定スタッフの横でパソコンの画面を通して着地の状態を見ています。そのため飛距離や順位を他の誰よりも先に知ることができるのが慰めです。

いつもはこのスキージャンプの手伝いのためにフィンランド語の授業を休講にしたり、代講を頼んだりと、やりくりがなかなか大変なのですが、来年の頭は割り切って語学の指導に集中しようと思っています。

 

karjalanpiirakka カレリアパイ

既に利用されたことのある方もいるかと思いますが、元北大留学生で、北大ヘルシンキオフィスの副所長も務められたことのあるテロ・サロマ―(Tero Salomaa)さんと北見出身の奥さん雅子さんのヘルシンキにあるお店「ノルディス」のネットショップで買い物してみました。

日曜の日付が月曜に変わろうかという時間帯に注文したのですが、木曜日の午前中には荷物が届きました。速い!

箱を開けるとテロさんはkarjalanpiirakka「カレリアパイ」他たくさんサービスをしてくれていました。おまけの中でこれだけは一応賞味期限が数日後に迫っていたので、冷凍保存することも可能なのですが、すぐに卵バターを作り、載せて食べました。久しぶりにフィンランドらしい味を堪能しました。

写真のパッケージにはriisipiirakka「ライスパイ」と表示されていますが、カレリアパイのこと。Karjalaはロシアに近い、あるいはロシアに割譲されたカレリア地方のこと、またpiirakkaはロシア語からの借用語、日本語で「ピロシキ」と言っている「パイ」のことです。

フィンランドではコメは栽培しておらず、昔は特に貴重品だったので、クリスマスのライスプディング(riisipuuro)同様、このカレリアパイはお祝い事や特別な日にだけ食べられていましたが、現在ではフィンランド全土でポピュラーなおやつになっています。

 

日本では生地に使うライ麦粉が手に入りにくいので、そば粉を使って作ってもおいしいです。また、ミルクがゆの代わりにマッシュポテトを使ってもおいしいですよ。レシピは私が担当のクラスの方には入門コース受講時の「受付セット」の中に毎回封入するのですが、ご興味ありましたらお申し付けください。

 

 

Muumi-näyttely ムーミン展

ムーミン展のおしゃれな案内パンフ

札幌芸術の森で開催されていた「ムーミン展」が11月3日に終了しました。コロナ禍の中とはいえ、かなりのお客さんを集めて成功裏に終了したようで何よりです。

私も先週の金曜日に鑑賞しに行ってきました。トーベ・ヤンソンの原画は、タンペレ市の新旧のムーミン谷博物館で見たことはあったのですが、特にその量に圧倒されました。

フィンランド語を教えている身としては、ごくまれに現れるフィンランド語を探すのに精を出しました。ご存知の方も多いようにトーベ・ヤンソンはスウェーデン語が母語なので、ムーミン物語はもちろん、イラストや挿絵に書き込まれている文章や指示などもほぼスウェーデン語で書かれています。

日本では「楽しいムーミン一家」と訳されているのはTaikurin hattu「魔法使いの帽子」、スウェーデン語の原題もTrollkarlens hatt(フィンランド語同じ)と「ずいぶん違うな」と感じたり(ちなみに英語版のタイトルはFinn family Moomintroll)、小児病院の案内ポスターの中にムーミンと共にかなり大きな文字でTervetuloa röntgeniin!「レントゲン(röntgen)へようこそ!」と書かれているものを見つけたりしました。

フィンランドのスウェーデン語系新聞に掲載されたフォーレニングス銀行の広告スケッチの中には、流暢な筆記体の濃紺の文字でMuumi saa lippaan ja kortteja.「ムーミンが(貯金)箱とカードをもらう」、 Muumi näkee lippaan pankin ikkunassa.「ムーミンが(貯金)箱を銀行の窓(のところ)で見る」、 Muumi menee kysymään mikä se on.「ムーミンが、それは何かと尋ねに行く」といったストーリーの内容がフィンランド語で書かれています。ヤンソンさんの書いた文字なのか、スウェーデン語や英語で彼女が書いた文字と比較し、素人の筆跡鑑定をしてみましたが、どうやら彼女の書いたフィンランド語のようです。

「ムーミン・オペラ」のパンフレットの原画の隅にも同様の筆記体で:
Olkaa hyvää
Lähettäkää takaisin
Tove Janssonille
どうぞ
返送してください
トーベ・ヤンソンへ

そしてその下にヘルシンキの住所が続いていますが、フィンランド語を学習している皆さんは赤字の部分に注目してみてください。

展示の最後、浮世絵がトーベ・ヤンソンの絵画に与えた影響のコーナーも大変興味深いものでした。