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フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

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patavahti ポットウオッチャー

使用中のpatavahti

前回提示した品物、何だかわかりましたか?フィンランド語ではpatavahti、pataは「鍋」、vahtiは「見張り、番兵」で、日本語ではポットウオッチャーと言っているようです。鍋と蓋の間に隙間を作る吹きこぼれ防止道具です。日本では全くポピュラーな道具ではないですが、電気での調理器具が主流のフィンランドに比べ、日本ではより強い火力が得られるガス調理が主流なので、今後存在が知られてくれば普及することもあるかもしれませんね。

日本では特に冬の風物詩でもある各種「鍋料理」は、ruoka「料理、食べ物」を後ろにつけてpataruokaと説明しています。フィンランドの家庭では全員分の料理をオーブンや大鍋でドーンと作ってしまい、食卓で各自が食べたい分量を取り分けてしまうスタイルが多いので、日本のようにカセットコンロで鍋を温め続けながら「皆で鍋をつつく」ということはほぼ皆無です。

料理に関係して、「フィンランドではなぜレシピで小麦粉のような粉物もデシリットル(体積)で表記するのか(4月11日付け当ブログ欄)」という疑問にも答えておきましょう。一言で言えば「器さえあれば、液体も個体もどちらも量れる」ということです。重さを量るには、現在なら電池を使ったデジタルのはかり、あるいはばねばかり、あるいはもっと原始的な天秤ばかりなど、それなりの道具が必要となります。今でこそフィンランドは他の北欧諸国と肩を並べ、多分野で世界のお手本となるような先進国ですが、伝統的には貧しい農業国で、それは敗戦国として戦後も長く続きましたから、料理用のはかりはぜいたく品だったのでしょう。