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フィンランド語講座

北海道フィンランド協会

saunan päivä サウナの日

11年目の3.11を含む1週間が終わろうとしています。昨日12日の2つの補習授業で、私の今年度のクラス授業は終了、春休みに入りましたが、個人授業はいくつかあり、また、新年度の授業の準備もしなければならないので、ずっとのんびりしているわけにもいかなそうです。

kotaの魅力についてはまた後日

いつの間にか3月7日が「サウナの日」になっていたようです。知りませんでした。そうとは知らず、偶然7日は古い知り合いでフィンランド協会の理事もやっていただいている伊達市大滝区の藤田隆明さんの手作りサウナに入っていました。もともとサウナ小屋をフィンランドからキットで輸入して建てる予定だったのが、輸入業者の積載コンテナが満載にならなかったかとかいう理由でキャンセル、一念発起してストーブも含め自作した自慢のサウナです。私もコンクリートの基礎打ちや薪作りで多少貢献しているので、思い入れもあるし、藤田さんも大滝来訪時にはいつもサウナを準備して歓迎してくれます。

7日は久しぶりの昼サウナ。サウナに続くピザ小屋から外に出ると、2月下旬の大雪で埋まった庭の中、kota(小屋、特に北欧の少数民族サーミの円錐形の移動式住居などを指すことが多い)に通じる除雪された通路が、ちょうど目隠しになり、裸でイスに座って春の日差しを浴びたり、雪の上に体を押し付けて「人型」を作ったりして、サウナ+αを堪能しました。藤田さん、Kiitos!

 

persikka 桃

-(i)kkAというのはIso suomen kielioppi『フィンランド語大文法』によればいくつかの意味合いを持ち、主に名詞を作る派生接尾辞ということになっていますが、学習者にとっては果物やベリーを示す語のいくつかが-(i)kkAで終わっていることを意識する程度で良いでしょう。たとえば、

persikka「桃」
mansikka「イチゴ」
mustikka「ビルベリー、ブルーベリー」
puolukka「コケモモ」
などです。

これらは、単数変化はkk:kのkpt変化が発生する場合があることに注意すれば比較的簡単で、単数分格はそれぞれ、persikkaa, mansikkaa, mustikkaa, puolukkaaと辞書形に-aをつけるだけ、単数属格「~の」はpersikan, mansikan, mustikan, puolukanです。

一方複数変化はなかなか難しく、たとえばpaljon「たくさんの」がついた後の複数分格形は「桃」だとpersikoitaとpersikkojaと2つの形が許されています。前者の方がややポピュラーな形だと思いますが、多くの文法書では「kpt変化が関係ある名詞・形容詞は、複数分格と複数属格は強階程(=並びの左側、ここではkk)になる」と言い切っているものが多いので、kが一つしかないというのは例外になります。複数属格はもっと煩雑で、persikoitaから導ける形が①persikoidenと②persikoitten、persikkojaから導ける形が③persikkojen、そして現代フィンランド語ではほとんど使いませんが、-a/ä終わりの名詞・形容詞は辞書形に-inをつけた「第二属格」も存在するので、➃persikkainという形もあり得ます。

フィンランド語を習い始めてまだ日の浅かった頃、セイヤ先生からOma maa mansikka, muu maa mustikka.という響きの良い言い回しを教わりました。文字通りは「自分の国はイチゴ、他の国はブルーベリー」、自国(のもの)は他国(のもの)より良いものだ、という意味ですが、フィンランド人にとってはイチゴはひたすら甘く、ブルーベリー(正確にはビルベリーの方が良いのかもしれませんが)は甘さよりも酸っぱさが先に立つ、ということでしょう。たまに日本のケーキにちょこんと乗っている、粒だけ大きいが甘いだけのブルーベリーの味に慣れている者には、ちょっと分かりにくい感覚かもしれません。

Venäjä ロシア

ロシアのウクライナ侵攻が大ニュースとなっている今週です。ロシアというのは本当に興味深い国だと思います。大昔のフィンランド留学時代にも同級生にはロシア人がいて、また、一時期スラブ系言語への興味から3-4年札幌でロシア人の先生にロシア語を習ったことがあるので、ロシア人との交流は一般の方よりは多いかと思いますが、魅力的な人物が多かったです。

それが国家となったときに、今回のような侵攻を行う、日本とはいつまでたっても平和条約締結に至らない、手ごわい交渉相手ですね。

昔は(特に)飛行機嫌いで、時間もたっぷりあったので、留学時には札幌から船と鉄道だけを使ってフィンランドまで行きました。小樽から新潟までフェリー、新潟からウラジオストクまではロシア船籍の船、ウラジオストクからモスクワ、モスクワからヘルシンキまでは鉄道です。その後もう一度シベリア鉄道を使ってウラジオストクからモスクワ、ヘルシンキと旅行しました。ぜひ生きているうちにもう一度鉄道でロシアを横断して、再度その広さを実感したいものですが、実現するかどうか・・・

初級者はRuotsiと聞くとロシアだと勘違いする人が多いですが、Ruotsiはスウェーデンでしたね。いつもお世話になっているKaisa Häkkinen教授の「現代フィンランド語語源辞典(Nykysuomen etymologinen sanakirja)」によると、ロシア(Venäjä)は古いゲルマン語系からの借用、祖形は*weneđ-でもともとはスラブ系の民族を漠然と指す語、のちに(ゲルマン系民族の大移動後の)ゲルマン人の居住地やその近郊に住むスラブ系民族ヴェンド人(ドイツ語:Wenden、フィンランド語:vendi)などを指す言葉となったようです。

写真は2回目のシベリア鉄道の旅の前のウラジオストク港(2006年7月30日)で見た光景、子どもも含めて多くの市民が見物に出かけていたので海軍の大きなイベントだと思いますが、どのような背景があってこのような大規模なイベントが行われていたのかは分かりませんでした。

ロシア語はいくつかのあいさつを除き、すっかり忘れてしまいました・・・

 

 

punatukkainen 赤髪の

先週の火曜入門コースの授業では、12課の本文にLiisalla on punainen tukka ja siniset silmät.「リーサは赤い髪と青い目を持っている。」、Sinä haluat tietää, kuka se punatukkainen tyttö oli, jonka kanssa minä olin eilen Kellariravintolassa.「私と一緒に昨日Kellariレストランにいた赤髪の女の子が誰だったか、君は知りたいんだね。」 という文が出てきます。

ここでの「赤い髪」は雄鶏の鶏冠(とさか)のような赤い色ではなく、個人の受け取り方の差はありますが、少しオレンジっぽい色を指すと思われます。1枚目の写真は私の友人Jussiの奥さんSirkkaさんがクリスマスのハムと格闘している写真ですが、彼女のような髪の色ならpunatukkainenと言って差し支えないと思います(授業時にゲストのEmiliaさんにも確認、同意してもらいました)。

私はずっとこの髪の毛の色がSirkkaさんのオリジナルの髪色だと思っていたのですが、5年前に会った時に金髪だったので、染めていたのかとそのとき分かりました。日本人はブロンドの髪の毛に憧れて染めたり、脱色したりする人がいますが、フィンランド人的には周囲と同じ金髪は少々個性がないと感じられるのか、赤い髪や青い髪、日本人のように真っ黒に染めている人もたまに見かけます。考えてみればSirkkaは元美容師なので、髪の色を変えるのはお手のもの、手軽に自分の個性を出したり、気分転換する良い手段なのかもしれません。もちろん栗色~オレンジっぽい髪の毛がオリジナルな髪色の人もそれなりにいるとは思いますが。

 

Hyvää ystävänpäivää! 良い友達の日を!

2月14日、多くの方がご存知かと思いますが、フィンランドでは「友達の日(ystävänpäivä)」となっています。表題のように「良い友達の日を!」とメッセージを送ったり、年配の人はカードを送ったりします。

私の先生の川上Seijaさんは、私の自宅から車で5分もかからないところに住んでいますが、毎年律儀にカードを送ってくれます。手書きのカードや手紙は、いつもらっても嬉しいものです。今日到着したばかりの今年のカードを一緒に見てみましょう。セイヤ先生はいつもすべて大文字で書いてきます(こういうフィンランド人は多いです)。青いペンで文字を書く人も多いですが、セイヤさんは黒いペンをいつも使っています。

一応文字起こししますと:
Ystävänpäivä (14.2) sinua tervehtien (minä) toivotan sinulle iloa ja energiaa päivääsi!
Kevättä odottavin terveisin(,) Seija
となります。フィンランド語学習者であれば、(必要に応じて辞書も使って)だいたい何が書かれているかお分かりかと思いますが、結構テキストsuomea suomeksi 2レベルの難しい文法、それから間違いやすい部分が含まれています。青字がsuomea suomeksi 1レベルの文法、赤字がss2レベルの文法です。

「友達の日(2月14日) あなたに(を) 挨拶を送りながら (私は) 望みます あなた 喜び(を)と エネルギー あなたの一日へ! 春 待っている ご挨拶を セイヤ」

ss2レベルの部分だけ解説します。
①tervehtienは動詞tervehtiä「~に挨拶する」の第2不定詞(=E不定詞)具格、付帯状況を表す「~しながら」の用法(18課)。
②päivääsiの-siは「あなたの」を表す所有接尾辞、注意するのはpäivää(単数分格)の後ろに所有接尾辞が付いているのではなく、päivään(単数入格「一日へ」)の-nの上に、-siが被さっている点です(2課)。
③terveisinはおおむね「草々」に相当する、手紙ではおなじみの締めの文句ですが、文法的には「複数具格」と呼ばれる形です。したがってその前のodottava(動詞odottaa「待つ」の能動現在分詞(「~している」(8課)))も複数具格にハーモニーしています(21課)。

Talviolympialaisten lajit 冬季オリンピックの種目

まもなく北京オリンピックの開会式ですね。前回の平昌オリンピックの前に作成した、冬季オリンピックの種目をフィンランド語でどう表現するかのリストが出てきましたので、参考までに紹介します。前回から増えた種目やなくなった種目もあるかもしれませんが、ちゃんとチェックはしていません。念のため。赤の|部分がある語は、そこに意味の切れ目がある複合語です。 

alppi|hiihto アルペンスキー
 syöksy|lasku 滑降
 super|suur|pujottelu スーパー大回転
 suur|pujottelu 大回転
 pujottelu 回転
 alppi|yhdistetty アルペン複合
ampuma|hiihto バイアスロン
curling カーリング
jää|kiekko アイスホッケー
pika|luistelu スピードスケート
kaukalo|pika|luistelu ショートトラックスピードスケート
taito|luistelu フィギュアスケート
lumi|lautailu スノーボード
freestyle|hiihto フリースタイルスキー
maasto|hiihto クロスカントリースキー
mäki|hyppy スキージャンプ
yhdistetty (ノルディック)複合
ohjaus|kelkkailu リュージュ
ratti|kelkkailu ボブスレー
skelton スケルトン

平昌のジャンプ台(アルペンシア・スポーツパーク)

コロナ前、サマージャンプの大会観戦に行くチャンスがありました(2019)

osake 株

「左手のピアニスト」舘野泉さんが初めてフィンランドに行ったとき、ヘルシンキ中心部のところどころで”OSAKE”の表示や看板を見かけ、「フィンランドって(特に左党の)日本人にはいい国だなあ」と妙に感心し、後日osakeがフィンランド語で「株、株式、株券」を指すことを知ったという逸話があります。「株式会社」はosakeyhtiö(Oy, oy., OYなどとよく略標記される)です。

私も含め株式相場に関心のないものが気になる「株」は、デルタ株、オミクロン株などのコロナ関連の変異「株」でしょう。こちらはosakeは使わずmuunnos(本質的には「変更、修正、異形」などを表す名詞、生物学では「種類」、数学では「変換」などを表す)を使い、deltamuunnos, omikronmuunnos (delta-muunnos, omikron-muunnosも散見)などと表記します。

最後に、osake(-e終わり、kk:kのkpt変化もあり), muunnos(子音終わり)はそれぞれ変化の難しい名詞ですので、学習者用に主だった格変化を確認しておきましょう。
osake : osakkeen[単数属格]、osaketta[単数分格]、osakkeita[複数分格]、osakkeiden/osakkeitten[複数属格]
muunnos : muunnoksen[単数属格]、muunnosta[単数分格]、muunnoksia[複数分格]、muunnoksien/muunnosten[複数属格] 

hamsteri ハムスター

皆が寝静まった頃活動開始!

ペット(lemmikki、あるいはlemmikkieläin)を飼わなくなって久しいのですが、お正月に合わせて遊びに来た妹の子どもたちのハムスターがまだ居候しています。

名前は「おもちちゃん」、餅はriisikakku(riisi「米」+kakku「ケーキ」、英語ならrice cakeと2語になりますかね)、なかなか上手く名付けたものだと感心しています。

ハムスターはドイツ語のhamstern(フィンランド語ならrohmuaminen「溜め込むこと」)が語源のようです。実際フィンランド語でもhamstrataという動詞(初級以上の方、タイプⅣの動詞です)があり、特に不景気や何かが欠乏している時に溜め込むという意味です。外来語由来の動詞だからですが、子音が4つも続くのは珍しいですね。そしてそのようにあまり意味なくいろいろ溜め込む人を、比喩的にhamsteri、あるいは「hamstrataする人」の意味でhamstraaja(-jAは「~する人、する道具」の意味)と言うそうです。

外来語は-i終わりのことが多いことにお気づきの方も多いと思いますが、複数の格変化がちょっとややこしく、複数分格はhamstereitaかhamsterejaと2種(前者の方がポピュラーか)、複数属格はhamstereiden, hamstereitten, hamsterienと3種もあります。単数変化は簡単で、2匹のハムスターならkaksi hamsteria辞書形+単数分格のサイン-aです。

puolukkahillo コケモモジャム

田舎道の日当たりの良い路肩に群生するpuolukka

Hyvää uutta vuotta! 明けましておめでとうございます。どのくらいの方がこの「ブログ欄」を見てくださっているのか見当もつかないのですが、前回投稿してから1か月位空いてしまいました。今後はもう少し頻繁に話題提供したいと思います。

コロナ禍の中、買い物はできるだけ1か所でまとめ買いするようにしているのですが、特定の店舗にしかない品物がたまにあり、数軒掛け持ちを余儀なくされることがあります。

私は甘いものにはそれほど執着がないのですが、ジャムはたまに食べます。といってもあまり甘すぎるジャムは好きではないので、たまにコケモモジャムpuolukkahillo (puolukka「コケモモ」+hillo「ジャム」)を買います。ところがコケモモジャムはあまり人気がないのか、近くのLスーパーにしか置いていません。

私のジャム瓶が、お正月遊びに来ていた妹の子どもたちに食べられて空っぽになってしまったので、昨日Lスーパーに買いに行きましたが、なんと、コケモモジャムの姿が見当たりません。どうやらLスーパーでも置かなくなってしまったようです。少し離れたA系の大きなショッピングモールの中のスーパーにはなかったはずと思いつつ、未練がましく確認しに行きましたが、やはりありませんでした(この大手スーパーの私が行く店舗は、私が好きな生のディル(tilli)も置かなくなってしまい、がっかりしています)。

コケモモはやはり人気がないのでしょうか?何年か前に空知地方のお菓子屋さんから「コケモモ羊羹を試作してみたのだが試食してもらえないか」と依頼があり、フィンランド人と一緒に試食した記憶がありますが、あのコケモモ羊羹、商品化されたのだろうかと急に気になり始めました。

päästäinen トガリネズミ

トガリネズミいろいろ

(左から)オオアシトガリネズミ(以下T)、バイカルT、ヒメT、
トウキョウT

お世話になっている方が、世界最小の哺乳類(nisäkäs)の一つ、トガリネズミの著名な研究者なのですが、その方が中心となって行われた北大博物館のトガリネズミの展示を先週末見てきました。トガリネズミの中でも最少の部類に入るトウキョウトガリネズミ(名前には「東京」と入っているが、日本では北海道にのみ生息だそうです)の体重はなんと1.5-1.8gだそうです。

「ネズミ」と名前にあるものの、トガリネズミはむしろモグラ(kontiainenあるいはmaamyyrä)に近い仲間だそうです。フィンランド語でも正式名称のpäästäinenの他に、nokkahiiri(nokka「くちばし」+hiiri「マウス、ネズミ」)と呼ばれるのは日本語と同じですね。

ヤツメウナギ(nahkiainen)に「ウナギ」という言葉が入っていても、生物学的にウナギ(ankerias)とは大きく異なる例も合わせて思い出しました。

ケージに入った生きたトガリネズミの展示もありましたが、写真NGでしたので、売店で買った缶バッジでどんな姿かご確認ください。